更新日:2023/08/23
SNSの普及やEC市場の拡大などで多くの注目を向けられるようになったチャットボット。しかし多くのチャットボットサービスの中から適したものを選ぶためにはその特性や業界ごとの使用事例を把握しておかなくてはなりません。本記事ではチャットボットの分類から業界・使用事例毎の利用法まで幅広く解説しています。
チャットボットとは「チャット」と「ボット」を組み合わせた言葉で人口知能を活用した自動の会話プログラムを指します。
以前までは人間にあらかじめ用意したパターンでしか会話することができなかったのですが、現在のチャットボットはかなり人間に近いレベルで柔軟な会話が可能となりました。
チャットボットの種類は様々で、それぞれの長所と短所を持っています。予算やニーズ、業界によって導入すべきチャットボットを考える必要があります。
シナリオ型のチャットボットは、ユーザーに対して選択肢をいくつか提示し、ユーザーがその選択肢から自分に合ったものを選ぶ仕組みです。
チャットボットは選ばれた選択肢に沿ったアクションを提供したり、さらに選択肢を提示することでより相手の意図を絞っていく方法でコミュニケーションをしています。
AI型のチャットボットは、機械学習が搭載されており、ユーザーに合わせた対応が可能であり、複雑な質問にも回答ができます。
事前に学習させたデータと使用履歴から収集したデータから回答の精度を高めます。
ここでは開発タイプごとのチャットボットを紹介していきます。種類は「ドラッグアンドドロップ」「フレームワーク」「カスタムビルド」の3つになります。
ドラッグアンドドロップのチャットボットは、基本的なコンピュータースキルがあれば誰でもチャットボットを構築できるツールです。このチャットボットの開発ではコードを書いたり、CSSでコマンドを学習したりする必要はありません。
基本的にはすぐに使用できるテンプレートから始め、ビジュアルビルダーを使用して会話をカスタマイズします。
ドラッグアンドドロップのチャットボットが向いているのは単純な FAQのみを自動化したい場合などです。会話型サポートがビジネスの中心である場合は、より高度なタイプのチャットボットを検討する必要があります。
長所と短所には以下のようなものがあります。
長所
短所
フレームワークのチャットボットは、より多くの制御と柔軟性を必要とする企業にとって優れたオプションです。これらはモジュール式のフレームワークであり、顧客は独自のユースケースに合わせて事前に構築された要素と組み合わせから選択できます。
フレームワークのチャットボットを使用すると、テンプレート、プラグイン、および組み合わせを使用して時間を節約しながら、必要なものを正確に構築することができます。
フレームワークのチャットボットは、チャットボット開発者に豊富なフレームワークを提供するため、人気が高まっています。顧客を複数のカスタマーサービスエージェントにルーティングするなど、複雑なユースケースを持つ企業に適しています。
長所と短所には以下のようなものがあります。
長所
短所
カスタムビルドチャットボットは、開発フレームワークでは解決できない特殊なニーズを持つビジネスに適したオプションです。これらのタイプのチャットボットは、APIが機能しない場合に複雑なシステムと統合したい組織に適しています。
カスタマイズチャットボットは、他のタイプのチャットボットでは対応できない高度な技術ニーズがある場合にのみ検討する必要があります。たとえば、高度に専門化された統合が必要な場合や複雑なセキュリティプロトコルがある場合です。
長所と短所には以下のようなものがあります。
長所
短所
ここでは業界ごとのチャットボットを紹介していきます。ここで紹介する業界は「EC業界」「保険業界」「金融業界」「観光業界」の4つになります。
このほかにもさまざまな業界でチャットボットは利用されています。上4つ以外だとフィットネス業界、人材業界で使えるチャットボットについて記事を上げていますのでそちらも参考にしてみてください。
フィットネス業界でチャットボットを活用!おすすめツール紹介
人材業界向けのチャットボット活用【導入事例・メリットを紹介】
EC業界は、最新のチャットボットから最も恩恵を受ける業界です。顧客が企業のWebサイトにアクセスしなくても買い物できるようになったため、スタッフの代わりとしてチャットボットに基本的な顧客対応を全て任せることができます。
ECサイトがチャットボットを使用すると、次のことができます。
EC業界におけるチャットボット利用に関しては、以下の記事にも詳しく書いてありますので、ぜひ参考にしてください。
ネット通販にチャットボットを活用する方法【売上・効率UP】
銀行はその業務に対しスピードや、個人に合わせた対応、手続の簡略化などを顧客に求められているため、多くの銀行がバンキングチャットボットを採用しています。
銀行がチャットボットを使用すると、次のことができます。
チャットボットは、保険業界の重要な差別化要因となっています。顧客が見積もりを作成し、オプションをよりよく理解するのに役立ちます。
保険業界における会話型AIへの信頼は高いです。実際、保険会社の経営者の71%は、顧客がすでに人間よりもチャットボットとやり取りすることを強く望んでいると感じています。
保険会社がチャットボットを使用すると、次のことができます。
多くの観光業界は、チャットボットを使用して直接予約を増やし、顧客満足度を向上させています。世界中からのこきゃkを複数の言語でサポートすることもできます。
パンデミックによって引き起こされた社会的および旅行の状況により、ゲストはレストランやホテルと効率的なやり取りをより重視するようになっています。専門家はサービスを改善し、運用コストを削減する手段として、AIと自動化が業界全体で広く採用されると予測しています。
観光会社がチャットボットを使用すると、次のことができます。
ここでは使用事例ごとのチャットボットを紹介していきます。今回紹介する事例は「チャットボット」「マーケティング」「ノベルティ」の3つになります。
カスタマーサービスにおけるチャットボット利用は、最も一般的な種類のチャットボットの利用事例です。FAQを処理し、必要に応じて顧客をサポートエージェントに引き継ぎます。
このタイプのチャットボットを使用している多くの企業は、カスタマーサポートの質問を最大で80%処理することを可能にしています。顧客は迅速で信頼できる回答を得ることができ、サポートチームはコア業務により多くの時間を割くことが可能になるのです。
カスタマー サービスのチャットボットでは次のような利点があります。
カスタマーサービスのチャットボットが向いているのは以下のような場合です。
マーケティングとセールスにおけるチャットボットの目的は、顧客が製品やサービスを購入するのを支援することです。
このタイプのチャットボットは、販売を通じて顧客を動かすことを目標に、顧客に関連情報を送信することができます。 マーケティングとセールスのチャットボットを使用する企業は、受動的に多くの収益を生み出しています。
マーケティングとセールスのチャットボットでは次のような利点があります。
マーケティングとセールスのチャットボットが向いているのは以下のような場合です。
ノベルティのチャットボットとは、エンターテイメントのために利用されるチャットボットになります。このタイプのチャットボットは、ブランドと関わるためのユニークなプログラムであり、深刻な問題を対処するためのものではありません。
このチャットボットは、楽しむために作成されていますが、多くの場合はAIを使用して、人々の発言を解釈するので作成が複雑になる傾向があります。特定のビジネスユースケースがないため、人々からの幅広いインプットを処理する準備ができます。
ノベルティのチャットボットでは次のような利点があります。
ここではチャットボットによって異なる役割を7つ紹介していきます。
このタイプのチャットボットは、ユーザーのために情報収集や整理をします。たとえば、ユーザー固有のトピックやメディアを提案し、会話形式で提案します。たとえば、CNNのニュースチャットボットは、好みに基づいて見出しや記事をメッセージで伝えることができます。
このタイプのチャットボットは、特定の目的のために設計されたユニークなものです。たとえば、画像をミームに変換したり、テキストをマッシュアップ動画に変換するのに役立ちます。多くは面白くて魅力的なものであり、SNS上などにおいてユーザー間で拡散される場合も多いです。
このタイプのチャットボットは適切なタイミングで適切なアプローチを取ります。たとえば、航空会社のチャットボットは、チェックイン、手荷物の受け取り、着陸時の天気予報の提供などのリマインダーをタイムリーに送信します。
このタイプのチャットボットは、カスタマーサービスチームの代わりとして機能します。チャットボットはイライラした顧客にストレスを溜めることなく、友好的に対処することが可能なのです。
このタイプのチャットボットは、ユーザーベースを拡大して強化することができます。チャットボットは会話で人々を楽しませ、彼らとのつながりを作ろうとします。
SiriやAlexa などのインテリジェントなパーソナルアシスタントは、ほぼすべての要望に対応できます。彼らは人間の活動をサポートする上で積極的な役割を果たしています。予定を覚えたり、家にある他のデバイスを操作したり、Webで質問を検索したり、買い物をしたりします。
この記事では、チャットボットの基本情報から、開発タイプ、業界、利用事例ごとのチャットボットの紹介をしました。
チャットボットの大きな分類は「シナリオ型」と「AI型」の2つに分かれており、そこから開発タイプや業界によって利用されるチャットボットが変わってきます。
さらに、その機能は単純にコンテンツを提供するものから複雑なリクエストに対応するものまで幅広くあります。
予算やニーズ、必要な機能などから自分に合ったチャットボットを選ぶ必要があるので、この記事を参考に、自身の状況に適したチャットボットを探してみましょう。
株式会社リクルートホールディングスでWEBマーケティング業務および事業開発を経験し、アメリカの決済会社であるPayPalにて新規事業領域のStrategic Growth Managerを担当の後、株式会社Enigolを創業。対話型マーケティングによる顧客育成から売上げアップを実現するsikiapiを開発。