チャットボット業界が注目されている理由

チャットボット業界が注目されている理由

更新日:2023/08/02

近年、チャットボット業界は急速に成長し、市場規模も拡大しています。多くの企業は、コスト削減や顧客満足度向上などの目的でチャットボットサービスを導入しています。 ただし、チャットボットサービスにはさまざまな種類があります。この記事では、チャットボット業界が注目されている背景を理解した上で、適切なチャットボットサービスを選択するための解説を行います。

category banner sm
category banner sm

「チャットボット」サービスの導入を検討するにあたり考慮すべきこと

年々注目が高まっているチャットボット業界は、ここ数年で大幅に成長し、市場規模も拡大し続けています。2016年以降、Facebook社やMeta社、Microsoft社などがチャットボットプラットフォームやAPIを公開したことを受け、現在では様々なチャットボットサービスが提供されています。数年前はめずらしかったチャットボットも、今ではインターネットを閲覧していて見かけない日はないと言っても過言ではないほどの状況で、マーケティングにとっても欠かせないサービスになっています。「電話やメール、チャットなどの問い合わせ対応に関連するコスト削減を図りたい」、「お客様満足度を向上し、会社のイメージアップにつなげたい」といった想いを実現するために、多くの会社がチャットボットサービスを導入し始めています。
現在マーケティング担当者として、チャットボットサービスの導入を検討されている方もいらっしゃると思います。しかし、実際にチャットボットサービスについて調べてみると、プラットフォームだけでもLINE、FacebookのMessenger、Instagram、Slackをはじめとした多くのSNS、そしてインターネットサイトや公式アカウントなど様々な種類があり、どのチャットボットサービスを選んだらいいのか悩んでしまうものです。そんなマーケティング担当者のあなたが、近年チャットボット業界が注目されている背景を理解した上で、導入する「チャットボット」サービスを迷わずに選択できるよう、この記事では「チャットボット」についてわかりやすく解説していきます。
チャットボット

「チャットボット」とは

「チャットボット」とは

「チャットボット」(chatbot)とは、「対話(chat)」と「ロボット(bot)」を組み合わせた言葉で、人工機能を活用した自動会話プログラムのことです。SlackやChatWorkなどのチャットツールでは人間同士が対話するのに対して、「チャットボット」はコンピュータープログラムと人間が対話します。

具体的なチャットボットの利用用途

それでは、実際にどのような用途でチャットボットは利用されているのでしょうか。主な「チャットボット」の利用用途として、ここでは『問い合わせ対応』と『商品の紹介』について解説します。

問い合わせ対応

『問い合わせ対応』として利用される場合、大きく分けると、お客様からの問い合わせ対応(カスタマーサポート)と社内向け問い合わせ対応(ヘルプデスク)の2パターンに分けられます。
お客様からの問い合わせ対応(カスタマーサポート)は、従来人間が行ってきたお客様対応を、部分的に「チャットボット」による回答に置き換えるというものです。例えば、コールセンターにおける問い合わせの大半はFAQと呼ばれる『よくある質問』であり定型での回答が可能であるため、「チャットボット」による回答に置き換えることができ、結果としてコスト削減を図ることができます。
社内向け問い合わせ対応(ヘルプデスク)も同じように、『よくある質問』の問い合わせがヘルプデスクに集中しがちです。定形回答をチャットボットに対応させることで、担当者は本来じっくりと対応しなければいけない問い合わせに時間を使うことができるようになります。

商品の紹介

また、チャットボットは『商品の紹介』としての利用も注目されています。お客様の悩みや疑問に対して、「チャットボット」が適切な声掛けをし、お客様に適切な商品を紹介するというものです。お客様一人ひとりに合わせて商品を紹介することができるようになるので、成約率向上の効果も期待できます。
パソコン

チャットボット業界が注目されている理由

冒頭でも記載しましたが、チャットボット業界は年々注目が高まっています。まずは、チャットボット業界が注目されている背景についてしっかりと理解していただき、チャットボットの導入につなげましょう。ここでは、チャットボット業界が注目されている理由を3点ほど解説します。

チャットボット業界が注目されている理由①:会社において省人化と業務効率化が求められているから

チャットボット業界が注目されている理由の1つは、会社において省人化と業務効率化が求められているからです。
人口減少社会となった日本ですが、これまで働くことの少なかった女性や高齢者が働き手として活躍し始めたことで、今のところは労働人口の大幅な減少は免れています。しかし、働ける女性や高齢者の人数にも限りがありますので、今後は労働人口が減少することは避けられない状況だと言えます。
また、昨今、働き方改革関連法案の一部が施行され、長時間労働に対する罰則が非常に厳しくなりました。
このように、日本国内の会社は労働人口と労働時間の両方で影響を受けることになり、省人化と業務効率化が求められるようになったのです。この流れの中で、注目され始めたのがチャットボットです。チャットボットで対応できる業務を全て任せることで、大幅な省人化・業務効率化を図ることが期待されます。今後は更に、会社において省人化と業務効率化が求められると予測されますので、チャットボットは注目され続けるでしょう。
チャットボット

チャットボット業界が注目されている理由②:AI技術が著しく発展しているから

チャットボット業界が注目されている2つ目の理由は、AI技術が著しく発展しているからです。
これまでもチャットボットのような自動会話の仕組みは使われていましたが、パターン化された対応しかできず、「自然な流れの会話ではない」「会話内容の精度が低い」といった課題を抱えていました。しかし、AI技術の著しい発展に伴い、『自然言語処理技術』や『ディープラーニング技術』が大きく発達し、これまでの課題は解決されつつあります。
『自然言語処理技術』とは、人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに理解・処理させる一連の技術のことで、コンピューターに「ことば」を教えていくイメージです。この『自然言語処理技術』が発達してきたことで、言葉の微妙なニュアンスの違いくらいは認識できるようになりました。
『ディープラーニング技術』は、人間が自然に行うタスクをコンピューターに学習させる機械学習の手法のひとつです。コンピューターが人間のように過去のデータから学習して、正確な判断ができるように自ら改善を行っていくというものです。この『ディープラーニング技術』の発達によって、過去のチャット履歴データを蓄積するにつれて、AIを搭載したチャットボットはより正確な回答ができるようになっていきます。
今後もAI技術は発展し続けていきますので、更にチャットボットの利用は促進されていくでしょう。

「チャットボット」業界が注目されている理由③:チャットボットサービスが広く普及しているから

チャットボット業界が注目されている3つ目の理由は、チャットボットサービスが広く普及しているからです。
こちらは冒頭でも少し記載しましたが、2016年以降、Facebook社やMeta社、Microsoft社などがチャットボットのプラットフォームを公開したため、FacebookのMessenger、Instagram、LINEなどを利用したチャットボットを、以前よりも簡単に低コストで開発できるようになりました。その結果として、様々なチャットボットサービスが誕生しました。各会社はチャットボットサービスを導入する際に、数多くの選択肢の中から最適なものを選び、以前よりも低コストで導入できるようになりました。
チャットボットサービスは今後も増え続け、それに伴いチャットボットサービスを導入する会社も増え続けていくでしょう。
チャットボット

4タイプのチャットボットそれぞれの特徴

チャットボット業界が注目されている理由について解説しました。これらを頭に入れていただいた上で、ここからは実際にチャットボットサービスの導入を検討する際に役立つ情報を解説していきます。
まずは、チャットボットそれぞれの特徴についてです。この記事ではチャットボットを、『ログ型』、『選択肢型・シナリオ型』、『辞書型・FAQ型』、『選択肢型&辞書型』の4タイプに分類し、それぞれについて解説していきます。

チャットボットの分類タイプ①:『ログ型』

『ログ型』は、お客様が入力した文章や音声を解釈して適切な答えを返すタイプのチャットボットです。いわゆるAI型のチャットボットと呼ばれるもので、過去のチャット履歴データを蓄積し学習していくにつれて、自ら回答の精度を向上させていくという特徴があります。導入時にはコストや設定までの時間がかかってしまいますが、チャットボット自ら回答の精度を向上させてくれるのはとても魅力的です。

チャットボットの分類タイプ②:『選択肢型・シナリオ型』

『選択肢型・シナリオ型』は、チャットボットが提示する選択肢についてお客様が回答していくことで、適切な情報にたどり着くタイプのチャットボットです。導入した側が設定したシナリオに沿って会話が進んでいくので、突拍子もない回答にはならないという特徴があります。また、『ログ型』に比べると、導入におけるコストや設定までの時間はかかりません。

チャットボットの分類タイプ③:『辞書型・FAQ型』

『辞書型・FAQ型』は、お客様が入力した文章や音声の中の特定の単語に反応して、その単語に応じた内容を返答してくれるタイプのチャットボットです。『辞書型・FAQ型』の代表例として、英文を入力すると日本語に翻訳してくれるものや、SNS上によく存在する自動返信してくれる〇〇botのようなものが挙げられます。

チャットボットの分類タイプ④:『選択肢&辞書型』

『選択肢&辞書型』は、『選択肢型・シナリオ型』と『辞書型・FAQ型』を組み合わせたタイプのチャットボットです。両方の機能を利用することができます。
チャットボット

チャットボットサービスの選び方と、事前に把握しておくべきこと

チャットボットはどのようなタイプに分類できるのか、それぞれのタイプの特徴と併せて解説しました。ここでは、チャットボットサービスを選ぶ手順について解説していきます。

チャットボットサービスを選ぶ手順

  1. チャットボットサービスの導入目的を明確化する
  2. 導入するチャットボットサービスに必要な機能を洗い出す
  3. 利用用途に合ったチャットボットタイプを選択する(『ログ型』、『選択肢型・シナリオ型』、『辞書型・FAQ型』、『選択肢型&辞書型』)
  4. チャットボットサービスが、利用したいチャネル(埋め込み場所)に対応しているか確認する
  5. チャットボットサービス導入に関するコストを比較する

上記の流れで各チャットボットサービスを比較・検討していくと、最適なチャットボットサービスをスムーズに選びやすくなると思います。

チャットボットサービス導入前に把握しておくべきこと

チャットボットサービスの導入にあたり、事前に把握しておくべきこともあります。
それは、チャットボットサービスを導入しても、全てが自動化されるわけではないということです。チャットボットサービスでは対応できない複雑な問い合わせなどもあり、当然ですが、そのような問い合わせには人間が対応しなければいけません。このあたりの切り替えを迅速に行うことも求められます。
また、チャットボットサービスは複数の問い合わせに対して同時に回答することができないということも、事前に把握しておいた方が良いです。基本的には、ひとつの問い合わせが解決したら次の問い合わせへ、順を追って対応していく流れになります。このような流れは、お客様にわずらわしさを感じさせてしまうこともあり得るので、注意が必要です。

まとめ

この記事では、チャットボットの概要、具体的なチャットボットの利用用途、チャットボット業界が注目されている理由を解説した上で、実際にチャットボットサービスの導入を検討する際に役立つ情報をお伝えしてきました。『ログ型』、『選択肢型・シナリオ型』、『辞書型・FAQ型』、『選択肢型&辞書型』の4タイプのチャットボットそれぞれの特徴を踏まえながら、ご紹介したチャットボットサービスを選ぶ手順に沿って、導入するチャットボットサービスを選んでみてください。この記事が、あなたにとってチャットボットサービスの導入を検討する際の一助になりましたら幸いです。

柳沢智紀
この記事の監修者
柳沢智紀
株式会社Enigol

株式会社リクルートホールディングスでWEBマーケティング業務および事業開発を経験し、アメリカの決済会社であるPayPalにて新規事業領域のStrategic Growth Managerを担当の後、株式会社Enigolを創業。対話型マーケティングによる顧客育成から売上げアップを実現するsikiapiを開発。