更新日:2023/07/05
ビジネスはもちろんあらゆるアクションがインターネット上で展開される現在、コミュニケーションツールの一つとして注目を集めている「チャットボット」。この記事ではそもそもチャットボットとは何か、どのように活用されているのかなどをわかりやすく紹介しています。
最近はチャットボットという言葉をよく耳にするようになりました。まず、チャットボットとはどんなものなのでしょうか?これは、対話を意味する「チャット」という言葉とロボットを意味する「ボット」という言葉が合わさってできた言葉です。
チャットボットは音声やテキストにより、自動でユーザーとのコミュニケーションが可能で最近だと人件費を大きく削減できると注目され、自社のサービスにチャットボットを導入する企業もここ数年で増えました。
チャットボットはwebブラウザなどのアプリケーションと、チャットボットを動かすボットシステムの2つを、APIで連携することで動く仕組みになっています。APIとは「ApplicatioProgramming Interface(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)」の頭文字を取ったもので、アプリケーションやソフトウェアとプログラムをつなぐものを指します。
例えばwebブラウザに設置されたチャットボットにユーザーが質問を入力すると、APIがwebブラウザから受け取った質問をボットへ伝えます。するとボットがその質問に対する返答を用意し、API経由でアプリケーションに表示します。
次にチャットボットの種類をご紹介致します。大きく4種類に分かれていますので、それぞれの特徴を見ていきましょう。
こちらは、チャットボットの導入によって解決できる「問い合わせ対応型」です。「社内からなのか or 顧客からなのか」という対応相手はひとまず脇に置いておき、これまで人が担っていた、ユーザーからのなんらかの問い合わせを代替するチャットボットは全て、この「問い合わせ対応型」に分類できます。そして「問い合わせ対応型」のチャットボットは、主に3つの利点があります。
これまで人が担っていた業務をチャットボットで代替することによって、対応コストの削減をすることができます。これまで同じような質問にその都度、人が電話やメールなどで対応していた手間も、チャットボットであれば瞬時に自動で応答することが可能です。
また、業務そのものに必要なコストだけでなく、担当社員間同士の引き継ぎコストや新しいメンバーが加入したときの教育コストなども、チャットボットであればデータを蓄積することができるので、削減することができます。
人による電話やメールの対応の場合、多くの企業では基本的には「対応可能な時間」が定められており、深夜や土日などは対応不可としている企業も少なくありません。しかし、チャットボットであれば24時間365日、稼働しています。
また、対応可能な時間帯であっても、一気に問い合わせが殺到するとなかなか電話がつながらなかったり、メールの返信がなかったりするケースもありますが、チャットボットであれば即時に対応をすることが可能です。
チャットボットであれば文字として顧客とのやり取りの記録が残るので、後からも見返しやすく、今後のサービス内容の改善に生かしやすいです。どういう内容で顧客は困っていることが多いのか、どういったサービスを求めているのかを、データとして可視化することによって、企業や部署によっては属人的になりがちな顧客対応の質を、底上げすることができます。
処理代行型の機能を持つチャットボットは、ユーザーとのやりとりや入力した内容を基に、システム処理を自動で行います。人が行う場合にミスが起こりやすいものや、業務が煩雑になりやすいものをチャットボットが自動で行うため、ダブルブッキングや時間および数量の入力ミスなどを防ぐことができます。こちらは主に旅行プランやレストラン、会議室の予約などといった“ひとつの場所をさまざまな人が使うシーンで活用され、大きな力を発揮しています。
メリットはやはりユーザーの入力の手間やミスが減ること、そして企業側で行うシステム処理業務の労力軽減およびコスト削減などが挙げられます。
配信型チャットボットは、勤怠管理へ活用されることがあります。例えば、チャットボットに対して任意のメッセージを送ると、送信時刻と位置情報をもとに当該メッセージを出退勤の打刻報告として勤怠管理システムへ記録する、といった使い方などです。このような勤怠管理へのチャットボットの活用により、勤怠管理業務の効率化に繋げることができます。
雑談型のチャットボットは、とりとめもない話をするためのチャットボットです。雑談型のチャットボットは、ユーザーの役に立つというよりは、心の拠りどころとなったり友だちのような存在になったり、人間と心の通うコミュニケーションを実現することを目指しているのが特徴といえます。
さまざまな活用事例が生まれているチャットボットですが、それらの活用事例を場面ごとにまとめると次のようになります。
まず1つめの活用シーンは自治体です。新型コロナウイルス感染拡大の影響をうけ、自治体でのチャットボット活用は増加傾向にあります。様々な自治体がチャットボットを導入していますが、例えば東京都や新宿区、世田谷区などでは新型コロナウイルスに関するインフォメーションサイトにチャットボットが設置されています。世田谷区で「楽天グループ株式会社による世田谷区民へのワクチン接種実施」がニュースとなった際は、 発表があったわずか2日後には、この件に対応できるチャットボットが設置されていました。 例えば「楽天」と打ち込むと、楽天グループによる接種に関するよくある質問や、ワクチン接種の概要が表示されるなどです。 区民からの問い合わせにいち早く対応できるよう、随時更新しながら活用している良い例といえるでしょう。
チャットボットの機能を用いて、営業担当からの問い合わせに応じて商品の詳細情報や関連資料などを表示できるようにすることで、営業の効率化・売上機会の創出につなげます。
また、既存の顧客管理ツールや名刺管理ツールなどと連携させれば、チャット画面から取引先の情報や商談履歴を即座に呼び出せるため、チャットボットを営業事務要員として活用することも可能です。たとえば、これまでは営業が顧客先で商談した議事録や報告を毎回帰社してから入力するフローだったものが、外出先からスマホでチャットボットからの質問に回答するだけで共有が完了するといったことも可能になります。客先⇔本社の行き来によって部内での情報共有が遅れ、売上機会の損失に繋がっていたものが、即時で共有されることにより解決されます。
自治体からチャットボットを通して住居者に情報を発信することもできます。例えば下記のような情報を発信する際に活用します。
・年末年始のごみ収集日の変更
・新しくできた公園施設の案内
・子どもの見守り登校日のお知らせ
・自治体発行の広報の配布
・地域のお祭り情報 など
その他にも、生活保護や発達障害支援などセンシティブな内容を取り扱うシーンでもチャットボットが活用されています。生活相談の窓口には、相談することに抵抗のある住民も一定数いるでしょう。必要な手続き方法を事前に発信することで、問い合わせに悩んでいる住民に対して寄り添った対応をすることができます。
チャットボットの使い方と活用シーンを理解したところで、続いてメリット・デメリットについてご紹介していきます。
メリット・デメリットをしっかり確認し、チャットボットを上手く活用できるようになりましょう!
チャットボットを導入すれば、24時間365日、いつでも問い合わせに対応することができます。平日の夜や休日など、なかなか人手を割くのが難しい時間帯でも、チャットボットが自動的に顧客対応してくれるため、スタッフが不在のときでも、ユーザーの疑問に答えて、顧客満足度を向上させることもできるでしょう。人を増やさずに、顧客接点を増やせるという点は、大きなメリットです。
とくに、ECサイトは、休日や夜間などにアクセスするユーザーもけっして少なくありません。こうした有人対応ができないときでも、ユーザーの疑問に回答できるチャットボットを設けておくことで、機会損失を回避することにもつながります。
Webサイトやホームページにチャットボットを設置しておくと、ユーザーからの質問や問い合わせに自動で対応してくれます。その結果、業務効率化でき、人的コストや工数削減につながると言えます。例えばコールセンターでは、これまでオペレーターが担当していた業務の負担が軽減できれば、人間にしかできない業務に専念することが可能となります。
また、社内ヘルプデスクの場合は、問い合わせ対応に使う時間を削減できるので、業務効率促進につながるでしょう。(利用する社員側としても、気軽に質問できる体制が構築されることで、使いやすさを感じるはずです。)このように、チャットボットで業務効率促進を行えば、他業務へ費やす時間確保につながります。
お客様が商品・サービスを購入しようかどうか迷っている時に、チャットボットが導入されていれば、気軽に質問をすることができるようになります。チャットボットを通じて気軽に質問をして疑問が解消されれば、その場で商品・サービス購入や追加オプションの発注などを期待できるため、売上アップに貢献します。
顧客接点の増加は商品・サービスの購入に直結しやすいと言われていますが、チャットボットを導入・運用することで、顧客接点を増加させることができるのです。特に商品を実際に触ることができないECサイトにとって、チャットボットの自動対応は店舗店員のような役割を果たすと言えます。
チャットボットの寄せられた問い合わせ内容やある程度の顧客情報は、自動的に集計することができます。どの層の顧客がどのような点に問題を抱えているのかを効率的に集計可能なので、今後の商品・サービス展開へのフィードバックがスムーズです。
AI非搭載のチャットボットは、あらかじめ決められた回答をユーザーへ提示する仕組みです。そのため、質問内容によっては対応できない可能性があります。
また、たとえAI搭載型のチャットボットでも、想定していない質問に対しては、適切な回答が提示できない事態も起こり得ます。ほかにも、チャットボットは複数の質問には一度に対応できない欠点があるため、ユーザーはひとつずつ問い合わせしなければならず、手間に感じることもあります。
チャットボットは、高度な文脈は理解できないので誤作動をすることがあります。「柿」と「牡蠣」といったような同音異義語を間違えてしまうなど、人間であれば間違えないようなミスもあります。答えられなかった質問があった場合には、データベースに正しい答えを記録しておく必要があります。
AIチャットボットを導入する場合には、このように日々改善しながら管理・運用をしなければなりません。
チャットボットのなかでもAI型を導入する場合は、高額な費用がかかる傾向があります。具体的には、基本となる導入費用に加えて、学習データを作成するための費用や、自社にあわせてチャットボットをデザインするための費用もかかります。運用を進めるうえでは、サポート費用も必要です。
チャットボットと一口に言っても様々な機能や利用例が存在します。また数多くのチャットボットは、それぞれが想定される業務課題に適した機能で構成されているため、活用シーンによって比較検討の候補はまったく別のラインナップとなります。
また、導入・運用コストに大きく影響するAIの搭載是非は、主にFAQの内容や数、回答にたどり着くまでのシナリオ導線によって判断することとなります。導入先の業務体制や課題を明確に整理したうえで、選び方・比較のポイントを参考にぜひ最適なチャットボットを見つけてください。
株式会社リクルートホールディングスでWEBマーケティング業務および事業開発を経験し、アメリカの決済会社であるPayPalにて新規事業領域のStrategic Growth Managerを担当の後、株式会社Enigolを創業。対話型マーケティングによる顧客育成から売上げアップを実現するsikiapiを開発。