更新日:2023/06/28
今世界中多くの人々が利用しているインスタグラムは、ビジネスの世界でも幅広く活用されています。しかしその上で重要になるのがインスタグラムアカウントの分析です。インスタグラムの分析を適切に行うことで運用の成果は如実に変わってきます。今回はインスタグラム分析を助けてくれるツールについて紹介します。
インスタグラム(Instagram)は、Facebookで有名なメタ・プラットフォームズが所有するアメリカの写真・動画共有SNSで、2010年10月にiOSでサービスが開始されました。2012年4月にAndroid版、2014年6月にFire OS向け、2016年10月にWindows 10向けアプリケーションがリリースされました。Facebookと大きく異なり、匿名での登録が可能となっています。
全世界で月間10億人以上が利用している人気のあるSNSで、特に若年層からの支持が厚く、日本国内ではスマートフォンを所有する10代女性の8割以上が利用しています(モバイル社会研究所2020年)。全世代でも、男女問わず3割近いユーザーがいて、シニア層含め幅広い世代に利用されています。ユーザーの半数以上は毎日インスタグラムを利用しています。
ユーザーはフィルターで編集できるメディアをアップロードし、ハッシュタグやジオタギングで整理することができ、投稿は公開したり、事前承認のフォロワーと共有できます。ユーザーは、タグや場所別に他のユーザーのコンテンツを閲覧したり、トレンドコンテンツを閲覧でき、写真に「いいね!」をしたり、他のユーザーをフォローして自分のコンテンツをフィードに追加したりできます。
気に入った写真や動画を自ら投稿することがメインですが、他人の写真や動画を見ることもその一環となっています。写真や動画の投稿では文章がメインのSNSとは異なったアピールができますので、ビジネスの宣伝利用もかなりあります。また、また、芸能人がプライベートの一部を公開して、ファンとの交流の場としての活用も散見されます。
インスタグラムをうまく運用するためには、いかにしてより多くのフォロワーを獲得するか、また、いかにして「いいね」などのエンゲージメント率を向上させるかなどが目標になります。どのような投稿が特定のユーザー層に注目されやすいかは、ユーザーや投稿の分析、競合アカウントとの比較などによってはっきりしてきます。
無料・有料の分析ツールがいくつもあり、さまざまな指標を見ることができますが、レポートをただ眺めるだけでは具体的な改善、戦略立案には結び付きにくいものです。特に重視すべきは、エンゲージメント分析、フォロワー分析、競合分析、ハッシュタグ分析の4つです。
エンゲージメント分析は、「いいね」や「コメント」といった反応を分析することであり、エンゲージメント率は、フォロワーがどれだけ反応してくれたかという、親密度の深さを定量化した数値です。エンゲージメント率の具体的な算出は次の算式で行いますが、一般的にフォロワー数が増えるほどエンゲージメント率は落ちる傾向にあります。
エンゲージメント率=インタラクション(いいね+コメント数+保存数)÷フォロワー数
エンゲージメント率を計測しネガティブな要素が発見できた場合は、何かしら運用の改善を図る必要があります。いくらフォロワー数が多くても、エンゲージメント率が低ければ、ユーザーの投稿に対する興味やファンの数と交流の有無などを見直す必要があります。フォロワー数も見栄えの面では重要ですが、それ以上にエンゲージメント率の数値を気にすべきです。
フォロワー分析とは、名前の通りアカウントのフォロワーについてより深く知るための分析です。フォロワーの年齢層、性別や、反応率の高い時間帯を分析したりして、エンゲージメントが高いフォロワーのプロフィールを閲覧したりすることで、フォロワーにいかに支持されるかについての仮説を集めていきます。
その仮説をABテストに落とし込むことによって、投稿のブラッシュアップを行うことが可能になります。A/Bテストは、バナーや広告文、Webサイトなどを最適化するために実施するテストの一つで、Aパターン、Bパターンを作成し、ランダムにユーザーに表示し、それぞれの成果を比較して、より高い成果を得られるパターンを見つけます。
同様のジャンルか類似したジャンルで、同程度かより多いフォロワー数を保有するアカウントについての分析です。影響力のないアカウントを見ても意味がほとんどありませんので、自社に勝っているアカウントや手強い競合相手について、なぜこのアカウントは強いのか、成果を出しているのか、を解明します。
自社のアカウントよりフォロワー数が少ない競合相手はチェックの対象外ですが、アカウント開設後急激に伸びてきてきた競合相手の場合は例外として分析することもあります。無料のインサイトは競合情報が抽出できませんので、有料分析ツールを使って競合ベンチマークすることがおすすめです。
ハッシュタグには大きく分けて、一般ワード、自社ブランドワード、コミュニティ系ワード、影響力の少ない感想ワードの4つがあります。自社ブランドワードのハッシュタグを基準にすることで、ブランドの影響力を測定したり、UGC(User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ)改善のための施策に利用できます。
ハッシュタグは、使い方を間違えるとマイナスの方向に働いてしまうことがあります。運用企業の中には、ハッシュタグをたくさんつけてユーザーに見てもらおうとする企業がありますが、必ずしも有効ではありません。投稿ユーザーの流入で最も多いのは、虫眼鏡アイコンからフォローしていない新たなアカウントの発見タブからの流入ですので、むやみにつけても効果は見込めません。
分析ツールを使うと、ユーザーの細かい数字の変動、曜日や時間帯の閲覧状況も確認することができるようになります。それらの傾向から効率的にエンゲージメント率をあげることが可能となりますので、分析ツールを使うことでどういう効果が得られるか、ツールを使うメリットは何かなどについてご紹介します。
分析ツールを使い数値を元にした分析をすることで、効率よくフォロワーを増やすことが可能になります。ツールを使わずにアカウントを運用すると、エンゲージメント率をあげる方法を自社ですべて考えなければならなくなります。分析ツールを使い曜日や時間帯でのユーザーの反応率や競合アカウントの分析をして、差別化することも可能になります。
アカウントの成長はさまざまなデータから把握することが可能ですが、特にフォロワー数の変動は最も分かりやすいデータです。しかし、フォロワー数だけでは、本当にアカウントが成長しているかどうかわかりませんので、フォロワーの中にどれくらいアクティブユーザーがいるかとか、1投稿にどれくらい反応されているかまで確認しなければなりません。
フォロワー数が増えてもアクティブユーザーが少なく投稿への反応率が悪ければ、ビジネスで高い効果を発揮することはありません。フォロワー数以外に何があるかなど、細かいデータを確認するには分析ツールは非常に便利ですので、アカウントの成長を確認しつつ、確実にアカウントを運用したいという企業は分析ツールの導入がおすすめです。
どうすればフォロワーが増えるのかについて、分析ツールを使うことで簡単に戦略を立てることができ、アカウントの運用を効率的に行うことが可能になります。「いいね」数、プロフィール閲覧数、保存数などのデータの中で、どの数値が高くどの数値が低いかなど確認することができますので、データを確認して投稿に必要な要素を分析することができます。
たとえば、「いいね」数は多いけど保存数が少ないという状況であれば、共感性だったり写真が魅力的という部分では問題ありませんが、ユーザーが参考になるとか、また見返したいと感じるかどうか、という要素が足りないと分かります。それらの要素を入れるためには、ユーザーの参考になる投稿をしてあげれば良いのではないでしょうか。
インスタグラムの分析ツールといっても、シンプルな使い勝手のものから高度な分析ができる有料ツールまで、種類は多岐にわたっています。自社の運用スタイルと優先度を考慮して、分析に特化しているかどうか、予算に見合った月額料金かどうか、日本語に対応しているかどうか、競合他社の分析ができるかどうか、パソコンで管理が可能かどうかをよく検討しましょう。
最新の投稿だけでなく過去の投稿も振り返る必要があり、トレンドは日々変化していくために、継続して繰り返して分析するため、毎日手作業で分析するのはとても大変です。
手軽にインスタグラムの分析を行いたい場合や、分析をするのは初めてという場合、おすすめの無料分析ツールを3つ紹介します。
インスタグラムインサイトは、自社のインスタグラムアカウントのフォロワー数の推移、フォロワーの男女比や年齢構成、オンラインの時間帯、反応が良かった投稿など、自分のアカウントの詳細情報を知ることができる公式のツールです。自分の投稿の効果を測定したり、アカウント全体の分析をする際に便利な機能です。
インスタグラムインサイトはすべてのビジネスアカウントユーザーに無料で提供されていますので、アカウントをビジネスプロフィールに設定しておけば、誰でもアプリで簡単に使うことができます。特徴はスマホアプリで簡単に重要な指標の分析をできることで、お金も手間も掛からないためおすすめです。
インスタグラムインサイトでは、インプレッション(投稿が表示された回数)、リーチ(投稿を見たユーザー数)、プロフィールへのアクセス(プロフィールを訪れた人の数)、ウェブサイトクリック(Instagramを経由してウェブサイトを訪れた人の数)、エンゲージメント(いいね、コメント、シェア、保存数、フォローなど)、オーディエンス(フォロワーの内訳)の分析ができます。
引用元:https://insightsuite.jp/
Insight Suiteは、インスタグラムを効率的にマネジメントして、新規顧客の獲得と既存顧客のファン化を促進させるため、2019年4月にサービスを開始し無償提供を続けてきました。2021年12月にHOTARU.AIのサービス終了に伴いユーザーを引き継ぎ、従来からの無料版のほか、機能強化有料版がリリースされました。
即時投稿または将来の日時を指定した予約投稿を行うことが可能になり、投稿できるクリエイティブは画像1枚または動画を選択可能です。また、自社サービスの競合となるアカウントや動向を注視したいアカウントを登録して、フォロワー数の推移や投稿の分析ができます。
Freeプランでは1アカウントまで連携可能で、登録日からデータを蓄積し最新日から3ヶ月のデータ閲覧を行うことと、アカウント分析のために1日3回までスポット検索が可能です。
引用元:https://service.hinome.app/
HINOMEは、完全無料ですべての機能が利用可能なインスタグラム分析ツールで、2022年6月に公式リリースされました。開発したのはデジタルを活用した売上構築の支援・Eコマースサポートを行うHinome合同会社で、公式リリース直前に1000アカウントを突破しました。
基本的なデータの分析が可能であるほか、投稿してからの推移が分かる初速分析、手間ひまのかかるハッシュタグのおすすめ機能などが搭載されています。さらにβ版リリース後から、目的に合わせて必要な情報をクリックひとつでレポーティングする機能の拡充、カレンダー表示、ベンチマーク機能などが搭載されました。
初速分析は、短時間にたくさんのエンゲージメントがつくことが重要ですので、投稿からの経過を目視でアナログ管理が困難なため、投稿の初速推移が計測できる機能です。ハッシュタグのレコメンド機能は、ハッシュタグを正しく把握するため、ハッシュタグの効果を分析し、登録ワードの関連を各プラットフォームから抽出してAIがレコメンドします。
複数アカウントを管理したり、ほかのアカウントのユーザー生成コンテンツを分析することなどは無料プランではできないことが多いため、ある段階で有料プランに切り替える必要があります。有料プランを選ぶ際のポイントは、分析項目、プレビュー機能、 インスタキャンペーンの実施・管理機能などですので、よく検討して自社に一番ふさわしいツールを選んでください。
引用元:https://sinis.jp/
テテマーチ株式会社の提供で、インスタグラム運用のあらゆる課題の解決を志向しています。フォロワーの推移をはじめ、各種の指標を直感的に把握することができ、「いいね」「保存」「コメント」数などの指標を基準に、エンゲージメント率を算出できます。
初期費用は0円で、料金プランは、LITE:0円、STARTER:10,000 円/月(1アカウントあたり)、PROFESSIONAL:50,000 円/月(1アカウントあたり)です。無料トライアル・デモに対応し、LITEプランであれば、機能制限がありますが月額無料です。
引用元:https://notari.co.jp/aista_premierelp/index.html
notari株式会社の提供で、フォロワー推移などの効果測定ができ、ハッシュタグ数別エンゲージメントや、同時頻出ハッシュタグが表示され、競合他社の動向も把握できます。
初期費用は要問い合わせ、料金プランは、Aistaプレミア版:300,000円/月です。無料トライアル・デモは要問い合わせとなっています。
引用元:https://sns.userlocal.jp/
株式会社ユーザーローカルの提供で、インスタグラム運用のあらゆる課題の解決を志向しています。フォロワーの推移をはじめ、各種の指標を直感的に把握することができ、「いいね」「保存」「コメント」数などの指標を基準に、エンゲージメント率を算出できます。
初期費用は要問い合わせで、料金プランは、ビジネス版とエンタープライズ版があります。無料トライアル・デモ対応は要問い合わせとなっています
引用元:https://social.ccxcloud.io/
株式会社ライスカレーの提供で、動きの追いづらい競合アカウントも成長ポイントが一目瞭然で、項目をドラッグ&ドロップするだけでレポートがすぐ完成します。今何が流行っているのかが分かるトレンド分析機能もあります。
初期費用は要問い合わせで、料金プランは、スターター:10,000円/月(税抜)、ベーシック:50,000円/月(税抜)、プロ:100,000円/月(税抜)です。無料トライアル・デモは対応し、2週間の無料トライアルが可能です。
引用元:https://www.comnico.jp/products/cms/jp
株式会社コムニコの提供で、複数のSNSを一元管理し、Facebook・Twitter・Instagramに1対応し、アカウントの状況を測る数値を視覚的に分析できます。自社だけでなく、他社競合のアカウントとの比較もできます。
初期費用100,000円(税別)で、料金プランは、月ごと契約:50,000円(税別)/月、年ごと契約:45,000円(税別)/月で、別途オプション料金があります。無料トライアル・デモに対応し、対面やオンラインでのデモを実施しています。
引用元:https://moribus.jp/service/navi/
AIQ株式会社の提供で、AIが上位表示されやすい最適なハッシュタグをレコメンドし、1クリックでサマリーレポートがダウンロードできます。社内運用していくためのコンサルティングプランも用意しています。
初期費用は要問い合わせで、料金プランも要問い合わせです。無料トライアル・デモ対応も要問い合わせとなっています。
引用元:https://instats.jp/top
株式会社ギークハッシュの提供で、フォロワー・いいね数からプロフィールの閲覧数まで、アカウントの状態をグラフで見える化しています。アカウントを自動で分析し、運用のポイントをお知らせし、気になる競合アカウントのデータを表示します。
初期費用は要問い合わせで、料金プランは、一部無料あり、パーソナル:2,980円/月、チーム:7,980円/月です。無料トライアル・デモに対応し、無料プランがあります。
引用元:https://sns-sakiyomi.com/
株式会社SAKIYOMIの提供で、運用セオリーを合計50以上の動画コンテンツで解説しています。運用のプロが実際に使っているデザインテンプレートを共有し、無数に存在する数値指標の中から4つの重要変数はダッシュボード化しています。
初期費用要問い合わせ、料金プランは、運用代行:月額35万円~となっています。Slackコミュニティ単体プラン:10,000円/月、分析ツール単体プラン:10,000円/月で、無料トライアル・デモに対応し、分析ツールは、1ヶ月のトライアル期間があります。
引用元:https://media.slooooth.com/
notari株式会社の提供で、予約投稿・分析・レポート作成が一つのシステムで完結し、1クリックし数分待つだけで月間レポートが完成します。競合アカウントの分析やハッシュタグ調査もできます。
初期費用は要問い合わせで、料金プランは8,800円/月です。無料トライアル・デモに対応し、導入ガイダンスを受けることを条件に1ヶ月無料です。
引用元:https://ooowl.jp/
株式会社ユニークワンの提供で、Instagram・Twitterの両方を分析でき、指定した期間でのレポートをPDFでダウンロードできます。競合分析では他のアカウントも把握します。
初期費用は要問い合わせで、料金プランは、ミニマム:6,600円/月、スタンダード:11,000円/月、プロフェッショナル:33,000円/月です。無料トライアル・デモに対応し、1ヶ月間の無料トライアルがあります。
※金額はいずれも2023年3月時点のものです。
インスタグラム分析ツールについて、インスタグラムとは、インスタグラムの利用状況、重要なのはユーザーや投稿の分析、分析ツールを使って得られる効果やメリット、分析ツールでアカウントの成長を把握できる、分析ツールでフォロワー数増加戦略を立てる、分析ツールをどう選んだらよいかを解説しました。インスタグラムの分析ツールを活用して、より効率的なインスタグラムアカウント運用を実現してみましょう。
株式会社リクルートホールディングスでWEBマーケティング業務および事業開発を経験し、アメリカの決済会社であるPayPalにて新規事業領域のStrategic Growth Managerを担当の後、株式会社Enigolを創業。対話型マーケティングによる顧客育成から売上げアップを実現するsikiapiを開発。