更新日:2023/07/05
Instagramと聞いて、「若い人がよく使う写真SNS」と認識している人は多いのではないでしょうか。しかし昨今ではZ世代の間でInstagramは「写真共有SNS」の域を超えて日常生活の様々なコミュニケーションに活用されています。今回はZ世代のInstagram活用についての最新情報を解説します。
Z世代の生活とSNSは切っても切り離せない関係にあります。
以下の図は彼らのスマホの利用用途の割合を1日の時間帯ごとにまとめたものです。
平日と休日を比べると平日全体の平均が約39%、休日の平均が約44%とやはり平日は授業などがあるためなのか、休日の方が全体的にスマホ・タブレットの利用割合が大きくなっています。また、平日と休日両方とも午後7時から11頃が最もスマートフォン・タブレットの利用割合が高くなっており、50%以上がスマホ・タブレットを利用しているようですが、休日においては10時から11時までずっと40%以上の利用率を超えており、休日のZ世代にはスマホ・タブレットが一日中手放せない存在であることがわかります。
そしてその利用用途をみてみるとSNSを利用している割合が最も高く、彼らにとってSNSはもはや生活の一部と化していると言っても良いでしょう。
TVや動画視聴(Youtubeなど)も、SNSに比べるとその割合が抑えめで、SNSの影響力の高さが伺えます。
Z世代は一つのSNSだけを利用するのではなく、複数のSNSを目的別に使い分けている傾向があります。例えばInstagramならビジュアル中心の情報であるファッションやメイク、インテリア、おしゃれグルメなどの検索やピンナップ、Twitterなら瞬間のトレンドやバズニュース、速報などを仕入れるために利用する傾向の違いがあります。
それぞれのSNSに求めるものの違いをあらわしたのが、以下のデータです。それぞれのSNSでチャンネルやアカウントをフォローする基準を見てみると、どのSNSでも、どの世代でも「興味がある内容」が40%から80%ほどとなっており、それぞれのSNSごとに最も高い割合となっています。またYoutubeだと「興味がある内容」の割合が80%ほどの高い割合となっていますが、LINE公式アカウントだと45%ほどの割合となっており、プラットフォームごとにそれぞれの嗜好に合わせたものがフォローされやすいのか、嗜好に関わらずいろんな情報を求められているのかなどの傾向が違うことがわかります。
その他に、Youtubeなら「楽しい気分になる」「面白い」などのバラエティ要素がどの世代でも40%ほど、Instagramなら「可愛い」や「おしゃれ」などのビジュアル的要素が30%から50%ほどの高い割合となっているなど、それぞれのプラットドームごとの特徴によって少し傾向が分かれました。
SNSを使い分けしているといっても、やはり彼らの中にも情報発信や、やり取りなどの「メイン」となるSNSが存在しています。
「Z世代が最も利用している媒体」を「最近使用が増えたもの」−「最近使用が減ったもの」として算出したのが以下のグラフです。
プラスの値が出ているのは全てインターネット上のサービスとなっており、テレビや雑誌などはマイナスの値となっているなど以前よく使われているようなオフラインの情報媒体はアクティブ率が下火になってしまっています。
様々なサービスが並ぶ中で、Instagramは30.5の値となっており、2位のYoutubeの15.9と2倍ほどの差をつけてトップの利用率となっています。目的ごとに複数SNSを使い分けつつ、Instagramはその中でも「メイン」の立場になってきているようです。
日常生活における情報収集に利用するツールをまとめたデータを参照すると、どの世代でも一位はGoogleやYahoo!等の検索サイトですが、全て次点にInstagramがきています。しかし実際の活用法は、Instagramのビジュアル中心の情報の補足として検索サイトを利用するというやり方で、Instagramが情報の入り口となっているパターンが多いそうです。
Z世代は特にファッションやメイク、あるいはグルメなどの分野においてInstagramを検索ツールとして積極的に活用しています。検索欄やハッシュタグを活用したりする他、フォローしている自分好みのアカウントから自分が好きな傾向のアイテムが紹介されていたりするなど、より手軽にわかりやすいビジュアルイメージを通して情報を収集できることがInstagramのメリットのようです。また人気のインフルエンサー(インスタグラマー)が取り上げていたり、取り上げられる頻度の高さをみて、トレンドや機能のレビューを把握してから買い物ができるのもInstagramを検索に活用する理由のようです。
コミュニケーションツールとしてのSNSというと、「LINE」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかしZ世代において、その常識は変わりつつあるようです。
以下は普段連絡を取り合うツールの割合を相手別に算出したものです。
LINEは親や兄弟などの家族と業務連絡的な利用のしかたをする傾向にあり、友人とはInstagramのDMを利用する層が増えてきているようです。
また、利用時間を見てもZ世代においてLINEよりInstagramの方がその時間は多く、コミュニケーションにおいても見ている時間が長い分メッセージに気がつきやすくレスポンスがいいといった面もあるようです。
スマートフォンでの情報収集に関する定点調査2021
Instagramにはユーザーをおすすめする機能があるため友達とより気軽につながりやすく、ストーリーズや投稿などで近況も把握しやすいことからZ世代にとっての連絡先交換=Instagramの相互フォローとなってきているのです。
ストーリーズや投稿で日々の何気ない日常を共有できるのもInstagramの魅力の一つです。普段から仲良くしている友人だけでなく、中学時代の友人のような普段から頻繁に会ったりしない友人でも、お互いの投稿をチェックしあうことで心理的距離が近くなり、DMでのやり取りにつながるケースは多くあります。
このおかげで先ほど述べたようなコミュニケーションツールとしての地位をInstagramは確立できたと言えるでしょう。
先ほどの検索ツールとして利用されるInstagramの傾向について述べました。Instagramの検索機能は、ユーザー名、ハッシュタグ、場所の情報などを調べることができるのです。
Instagramの検索機能を活用することで、気になっている店舗や観光地、旅行先などを簡単に調べることができます。また、商品やサービスを提供している企業アカウントも見つけることができます。Instagramでは、商品の購入ページや予約サイトへのリンクも充実しているため、GoogleよりもInstagramの検索機能を利用するユーザーが増えているようです。
さらに、Instagramは画像や動画が主要なコンテンツとなっているため、視覚的な情報を多く収集することができます。この視覚的な要素が、Instagramを検索エンジンとして利用する理由の一つとなるのです。このような特徴から、今後もInstagramの検索機能や検索エンジンとしての利用者は増え続けるでしょう。
Instagramは、ビジネス向けに運用できる機能や集客、マーケティング、広告掲載を行うための機能も充実しています。そのため、多くの企業がInstagramを集客やマーケティング手段として活用しており、実際に高い利益を上げている企業も多数存在しています。そのためInstagramユーザーはInstagram内で企業からの公式最新情報を手軽に手にいれることができるようになっているのです。
Instagramでは、ビジネス向けアカウントへの切り替えによりフォロワーやアクセス数の分析、年齢層やアクセスの多い時間帯などの情報を収集・分析することができます。さらに、細かくターゲットを設定して特定の範囲に広告を配信することも可能であり、企業は集客やマーケティングの目的を達成しやすくなるのです。
また、Instagramのユーザーは主に10代から30代の若者が多いため、化粧品やブランド、美容関連の企業が積極的に参入しています。このように、若年層を中心にしたターゲットに対して効果的な広告やマーケティングが展開できることは企業側にとってのInstagramの魅力の一つであり、ユーザー側にとってはたくさんの企業がInstagramに参入していることで、自分が求めている商品や情報を手に入れやすくなっていることがInstagramを情報収集に利用するメリットとなっています。
芸能人やYouTuber、インスタグラマーなどのインフルエンサーは、Instagram上で日常や商品を積極的に紹介することが一般的です。
特にストーリーを投稿しているインフルエンサーには、ファンが直接メッセージを送ることができるため、ファンとインフルエンサー間の交流においてInstagramは非常に有益な機能となっています。さらに、ファンが自分の好きなインフルエンサーが商品やサービスを紹介する様子を見ることで、購買意欲が高まることがあります。そのため、企業はインフルエンサーに商品やサービスの紹介を依頼することがあります。
このような要素から、Instagramは多くのユーザーが自然と集まる場となっており、今後もその勢いは増していくことが予想されます。インフルエンサーマーケティングはますます重要性を増し、Instagramはその中心的なプラットフォームとして存在感を持ち続けるでしょう。
Instagramはショッピング機能を搭載しており、写真に商品の購入ページのURLを貼り付けて投稿することが可能です。
このショッピング機能により、投稿された写真を見ているユーザーは、商品情報や価格を簡単に手にいれることができ、さらにInstagram内で直接購入ページに移動することができるため、ユーザーはより快適なショッピング体験を得ることができるのです。
複数のサイトやリンクを経由して購入しなければならない場合、ユーザーは手間がかかることから購買意欲が低下する傾向があります。しかし、Instagramのショッピング機能を利用することで、このような課題を簡単に解決することができるため、多くの企業や店舗がショッピング機能を活用して、多くのユーザーに対して商品をアプローチする手段として利用しています。
また、商品の購入だけでなく、問い合わせを行いたいユーザーに対しても、ビジネスプロフィールに切り替えることで、プロフィールから簡単にアクセスできる導線を作ることができます。
ショッピング機能によって、Instagramを利用して商品を販売する企業や店舗は今後も増加し続けるでしょう。また、それによってユーザーにとってのInstagramはショッピングセンターのような存在になっているのです。
はじめこそ「インスタ映え」など、自分自身を世界中に向けて演出・アピールしたいといった承認欲求を満たせるツールとして注目されたInstagramですが、リリースから10年、注目されてから5年以上たった今、Instagramはそれ以上の機能を担っていると言えるでしょう。
今回紹介してきたように、Instagramは演出された写真の投稿だけでなく、何気ない日常を共有するためのストーリーズの投稿や情報の検索、友人とのコミュニケーションまで、生活の多岐に渡る「スーパーアプリ」と化してきています。
2021年7月、インスタグラムのCEOであるアダム・モセリ氏は、「インスタグラムはもはや写真共有アプリではない」と自身の投稿した動画で述べ、Instagramは今後動画、Eコマース、メッセージング、そしてオンラインクリエイターとの関係性を通じてアプリの存在感を高めていく計画について語りました。
またモセリ氏は、「過去5年間で、親しい友だちとのつながり方が大きく変化し、フィードやストーリーズよりも主にメッセージを通じて行われるようになった」と述べました。
Instagramの他にもTwitterやTikTokなど、SNS戦国時代とも言える今こそ、Instagramは他のSNSと差をつけていくためにも、今後よりそれぞれのユーザーに密着したオールラウンダーなアプリへと成長していくことでしょう。
[今回使用したデータ・グラフや表の画像のなかで記載のないものについては日本インフォメーションより引用しました]
株式会社リクルートホールディングスでWEBマーケティング業務および事業開発を経験し、アメリカの決済会社であるPayPalにて新規事業領域のStrategic Growth Managerを担当の後、株式会社Enigolを創業。対話型マーケティングによる顧客育成から売上げアップを実現するsikiapiを開発。