コンバセーショナルフォーム(対話型フォーム)をどう活用するか

コンバセーショナルフォーム(対話型フォーム)をどう活用するか

更新日:2023/06/21

入力フォームはWebサイトなどでユーザーの情報を受け付ける重要な要素であり、コンバージョン率向上やユーザビリティの改善に役立ちます。しかしこの入力フォームの形式によって情報の獲得率が左右されてしまいます。今回の記事では入力フォームの形式の一つであるコンバセーショナルフォームについて解説していきます。

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入力フォームはにはどんなものがありどう使われているか

フォーム(form)は、形、形状、形式、形態、型、書式、伝票などの意味ですが、インターネットでは、ソフトウェアの操作画面やWebページなどで、ユーザーからの入力を受け付ける操作の要素を指しています。Webサイトでは、コンタクトフォーム、予約フォーム、アンケートフォーム、カスタムフォームなど、さまざまな入力フォーム(input form)が利用されています。入力フォームは、内容を書き込んだり選択肢から一つを選ぶ画面や領域から構成されています。
ソフトウェアの機能として用意される場合、ユーザーが特定の目的のためにまとまった数の項目を入力や指定する場合に、入力フォームが用いられます。Webページの場合、ユーザーから必要な情報を聞き出して、Webサーバに送信するために使われます。会員登録や問い合わせ、アンケート、購入や決済、サービスについての各種の手続きなどです。検索機能や検索エンジンのキーワード入力欄なども、簡易な入力フォームの一つです。
フォームは入力内容や目的によりさまざまな機能を持っています。テキストボックスには任意の文字列が入力できます。ラジオボックスやセレクトボックスは複数の選択肢から一つを選ぶためのものです。チェックボックスは複数の選択肢から複数を選ぶときに使われます。コンボボックスは文字入力と選択肢を組み合わせることができます。トグルスイッチははい・いいえやオン・オフなどを指定するためのものです。ほかに、内容の送信やリセットなどを指示するためのボタンなどがよく使われます。
入力フォーム例
(引用元:楽天に会員登録しよう!

コンバージョンを高めるため入力フォームを見直す

コンバージョン(Conversion)はCVと略され、Webサイト上で獲得する最終的な成果を指し、Webマーケティングにおいてゴールとなる重要な指標のひとつです。Webサイトに訪れたユーザーが何かしらのアクションを起こし、行動が成果に転換することから使われている用語です。コンバージョン率の向上はWebマーケティングにおいて非常に重要であり、コンバージョン率は何を最終的な成果とするかによって異なり、業界、業種、商品、サービスなどによっても変動します。
特定のページのコンバージョン率は、コンバージョン率=コンバージョン数÷アクセス数×100で求められます。たとえばアクセス数5000に対してコンバージョン数が50では、コンバージョン率は1.0%です。コンバージョン数は、コンバージョン数=アクセス数×コンバージョン率で求められます。コンバージョン数を増やすには、アクセス数を増やすだけでなく、コンバージョン率を上げることでも達成できます。
コンバージョンを増やすためには、ターゲットに適したキーワードを設定すること、Webサイトの導線を改善すること、ボタンやバナーを目立たせること、入力フォームを見直すことなどが必要です。入力フォームはコンバージョンに直結するため、特に工夫が必要です。入力フォームの項目数が多ければ多いほどコンバージョン数は下がりますので、項目数を減らすことが求められます。入力エラーをリアルタイムに表示したり、郵便番号から住所を自動的に入力することなども有用です。

従来型の入力フォームにあった問題点

入力フォーム
従来型の入力フォームでは入力項目が多くなる傾向があり、項目数が多ければ多いほど縦長になり、ユーザーは画面をスクロールすることになります。画面が縦長になるほどユーザーはいらいらして、結果としてユーザー体験の好印象度が低下します。初めに氏名やメールアドレス、アカウント名だけ登録させ、メールアドレス確認後に他の要素を入力させることもできますが、入力項目が多ければやはり離脱につながってしまいます。
改行も行えるテキストエリアが複数列挙されている場合、ユーザーは入力フォームを入力しながら次の入力のことを考え始めます。これはユーザーの注意力散漫につながり、送信完了までにかかるスピードや時間が長くなってしまいます。また、入力後に入力項目に不備がないかシステム側でチェックし、誤っている箇所があると送信する前にはじめて指摘され、ユーザーは修正作業を余儀なくされますので、たとえ完了したとしても好印象でなくなってしまいます。
このように、従来型の入力フォームには多くの場合、入力項目がとても多く見えること、現在入力中のフォームに集中できないこと、送信ボタンを押した後にはじめて入力間違いが指摘されることなどの問題点がありました。入力フォームの入力項目数については、ユーザーの負担が大きくならないように、可能であれば、重要度の低い項目は削減が必要です。入力フォームのユーザビリティについては、ユーザーにストレスを与えないように注意してください。

コンバージョン獲得のため入力フォームの最適化を行う

入力フォーム
入力フォームは、Webサイトのコンバージョン獲得において重要であり、たとえば、問い合わせ・資料請求・見積り・申し込み・購入といった、見込み度の高いユーザーの行動は、ほとんどが入力フォームを通して行われます。入力フォーム最適化(Entry Form Optimization;EOF)は、会員登録や商品購入など、ユーザーに固有の情報を入力してもらう場面で、入力の負担を少し減らして離脱率を下げることを目指すための施策です。
見込み度の高いユーザーが、入力フォームが原因で離脱してしまうケースもあり、コンバージョン獲得の手前まで到達したユーザーの離脱は、Webマーケティングにおいて大きな損失です。入力フォームから離脱するユーザーを減らしてコンバージョン獲得を強化するため、EFOの施策が必要です。EFOはコンバージョンの獲得に直接大きな影響を与え、EFOの改善はユーザー体験での好印象度の向上につながります。
EFOに取り組むとスムーズに問い合わせや資料請求ができる環境になり、ユーザーの利便性が向上し高く評価されやすくなります。入力フォームでのストレスがなくなって、企業の商品やサービスに対するネガティブなイメージにつながる心配が解消されます。商品やサービスの売上増加も期待でき、Webマーケティングにおける機会損失を防ぐうえで有効な手段となります。また、広告やSEOの施策と比べ、より低いコストで高い効果をあげることが可能になります。

チャットボットをマーケティング支援に活用する

チャットボット
チャットボット(Chatbot)はチャット(Chat)とボット(bot=robot)を組み合わせて、人に代わってテキストや音声を使って自動的に会話を行うプログラムです。チャットは人と人同士が会話を行いますが、チャットボットはコンピュータと人が会話を行います。Webサイトでの問い合わせ窓口や、LINE公式アカウント、Facebookメッセンジャーなどのスマホアプリとして活用されています。
主な役割は大きく分けて、社内ヘルプデスク、カスタマーサポート、マーケティング支援の3つです。ユーザーがチャットボットに問いかければ問題解決の糸口を簡単につかめるようになり、導入企業にとっても業務効率化の実現が可能になります。シナリオ型とAI型の2種類があり、シナリオ型チャットボットはあらかじめ設定しておいたシナリオに沿って会話を行い、AI型チャットボットは機械学習を用いてAIが顧客の質問の意図を分析して会話を行います。
ユーザーはチャット形式で気楽に話しかけられますので、個人情報をひとつひとつ入力するフォームと違い、入力のハードルが一気に下がります。チャットボットから能動的な問いかけをすれば、ユーザーに次のアクションを促すこもできます。これにより、ユーザーを問い合わせや資料請求などのコンバージョンポイントへ誘導させることができます。また、24時間365日対応可能ですので、機会損失を回避しつつ顧客接点とコンバ―ジョン率の向上が期待できます。

コンバセーショナルフォームにチャットボットを活用する

チャットボット
コンバセーショナルフォーム(convesational form)は対話型フォームで、チャットボットを活用しています。ランディングページ(Landing Page)などで購入ボタンを押すと、ブラウザ上でチャットボットが起動する仕組みです。EC通販で購入時の名前や住所、決済情報などの入力フォームに、2018年頃から単品のリピート通販でチャット形式の入力フォームを導入する企業が登場し、2020年代にはその数が急速に増えてきました。
従来の入力フォームでは全ての項目に目を通して入力していきますので、ネットでの注文に慣れていないユーザーなどは、入力の負荷が大きく面倒と感じてしまうこともありました。これに対して、オペレーターからの質問に1つずつ答えるコンバセーショナルフォームでは、スムーズな入力が可能です。特に、LINEのトークやFacebookのメッセンジャーなど、チャットのUIに慣れたユーザーは心理的な負担はありません。
コンバセーショナルフォームは、従来の入力フォームのデメリットを解消することを可能にします。会話型インタフェイスには、音声アシスタント型とチャットボット型のものがあります。音声アシスタント型はAppleのSiriやAmazonのAlexaなどを使い、チャットボット型はSlackbotやFacebookのM、MagicやKikなどを使います。コンバセーショナルフォームは相手の情報を聞き出すという明確な目標があり、ほとんどがAIのシステムで運用されています。

コンバセーショナルフォームのメリットとデメリット

コンバセーショナルフォーム
たとえば会員登録などをする時、これまでは必要項目を一つずつ入力していくと、すごく多いと負担に感じることもありました。しかしコンバセーショナルフォームは、必要項目に対して一問一答形式で答えていくシステムですので、入力する時に今までより少なく感じます。コンバセーショナルフォームには、1つの入力項目にフォーカスできること、入力の間違いをその場で指摘されること、やりとりが気軽で安心であることなどのメリットがあります。
ユーザーは1つの質問事項に対して一問一答形式で答えていき、やりとりのキャッチボールがよりスムーズに行われます。一問一答形式でフォームの入力が行われて、入力間違いがあればその場で人間的なやりとりで指摘してくれます。従来型の入力フォームは無味乾燥した印象ですが、コンバセーショナルフォームはLINEやMessengerのインタフェイスと変わりません。また、会話でやりとりを行いますので、苦労して入力している感覚がなく、気軽にやりとりを行うことができます。
しかし、コンバセーショナルフォームには、先が見えにくいことや、決済フォームには不向きであることなどのデメリットがあります。コンバセーショナルフォームは現在行われている質問と、過去の質問の履歴しか見えませんので、どれくらい質問が残っているかが分かりにくいのです。また、コンバセーショナルフォームはフランクである分、クレジットカード番号を入力するような場面は想像しがたいです。いずれの場合も、ユーザーはどこか不安につきまとわれる心配があります。

まとめ

コンバセーショナルフォームというテーマで、入力フォームはどう使われているか、コンバージョンを高め入力フォームを見直す、従来型の入力フォームの問題点、入力フォームの最適化を行う、チャットボットを活用する、コンバセーショナルフォームとチャットボット、コンバセーショナルフォームの長所短所を解説しました。

柳沢智紀
この記事の監修者
柳沢智紀
株式会社Enigol

株式会社リクルートホールディングスでWEBマーケティング業務および事業開発を経験し、アメリカの決済会社であるPayPalにて新規事業領域のStrategic Growth Managerを担当の後、株式会社Enigolを創業。対話型マーケティングによる顧客育成から売上げアップを実現するsikiapiを開発。