ライブコマースが注目される理由とは【おすすめツール・事例】

ライブコマースが注目される理由とは【おすすめツール・事例】

更新日:2023/08/02

コロナ禍を経て、外に出なくても商品の詳細を把握できるライブコマースが今注目を浴びていますが、実はライブコマースの魅力はそれだけではないのです。ライブコマースだからこそ可能なこと、店舗販売や他の Webマーケティングとの違いをライブコマースを成功に導くプラットフォームやツールの紹介を含めて解説します。

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ライブコマースとは


ライブコマースとは、Instagramなどのライブ配信を利用して商品の紹介・販売を行うことです。近年は、SNS マーケティングが主流になり、Instagramを使った商品の販売が増えてきました。芸能人の方がInstagramで自分の化粧品を宣伝していたり、スポーツ選手の方が自分のアパレルを宣伝している姿などを見たことがありませんか?
今回の記事では、ライブコマースの特徴・メリット・実際の実例・伸ばし方について見ていきたいと思います。記事を読み終わった頃にはマーケティングのことがより理解できるようになっているでしょう。

ライブコマースの特徴

ライブコマースは上で書いたように、ライブ配信を用いることでユーザーの購買意欲を促進させます。リアルタイムのライブで商品の紹介を行い、視聴者の気になる質問にもその場で答えることでグッと興味を持ってもらうことを目的としています。以前は、店舗に行ったりすることで直接販売員に質問したり、オンラインの問い合わせで質問したりと手間と時間がかかることが課題でしたが、SNSを用いた相互的なマーケティング方法によりこの問題を解決しようとしています。

ライブコマースのプラットフォーム

ライブコマースが行われるプラットフォームはInstagramが最も人気で規模も大きいです。他にも別のSNSプラットフォームやECサイトなどでも行われていますが、それぞれに特徴があります。
ライブコマース プラットフォーム
ライブコマースの目的は主に購買促進認知拡大の2つが存在します。それぞれ目指すところによって選ぶべきプラットフォームは違います。

  • 購買促進:商品の購入を目的にすること。すでに認知がある場合、ピンポイントな需要に対応する場合に適応。商品をスムーズに買える仕組みが整っている、ビジネスに対して寛容な土壌が整っているプラットフォームが向いている。
  • 認知拡大:商品の存在を多くの人に知ってもらうことを目的にすること。リリースしたばかりの商品やブランド、幅広い需要に対応する場合に適応。発信の手段が多かったり、アクティブユーザーが多いプラットフォームが向いている。

上記の2つの目的をベースに、主に利用されているプラットフォームの特徴を解説します。

Instagram

フィードやストーリー、DMなど発信方法もアクティブユーザーも多いために認知拡大に向いている上、ショップ機能の拡充が進められているなどビジネスに対して寛容で購買促進にも向いている万能プラットフォームです。ライブコマース市場で最も利用されているというのも納得がいくでしょう。

Facebook

Facebookは『Facebookショップ』と呼ばれる、SNS内で決済まで完了できるサービスを実装しています。ビジネスマンの利用者も目立ち、ビジネスに対する土壌は整っていると言えますが、最近ではユーザーの伸び率が低迷していたり、若い利用者が少なかったりするため、認知拡大のためというよりは購買促進に向いているプラットフォームだと言えるでしょう。

LINE

LINEは最も多くの利用者層を有しており、公式アカウントによるビジネス運用も盛んなプラットフォームです。しかしシームレスな購買サービスや発信方法に関してはそこまで多くはありません。どちらかというと公式アカウントで顧客をがっちり掴んで、購買促進のために利用するのが向いているプラットフォームです。
SNS

TikTok

TikTokは若い層を中心にシェアを伸ばしているプラットフォームです。しかし今のところはあまりビジネスや宣伝を匂わせるような投稿が好まれる土壌にはあrません。TikTokはランダムに動画が表示されていくので、認知拡大に向いているプラットフォームだと言えます。

Youtube

Youtubeは世界中で多くの人が利用する動画投稿プラットフォームです。ライブ配信は盛り上がる傾向にありますが、商品にアクセスするにはキャプションなどにあるリンクを経る必要があるため、購買促進よりは認知拡大のために利用した方がいいでしょう。

ECサイト

自社のECサイトでもライブコマースは可能です。ECサイトならばブランドの世界観を十分に表現でき、直接商品を購入するための動線もカスタマイズできる自由度が魅力です。しかしライブを見てもらうためには検索や他媒体での広報が必要なため、認知拡大よりも購買促進に特化した手法だと言えます。

ライブコマースの実態

では、このライブコマースは実際どのくらい認知されているのでしょうか?ライブコマースは現在色々な国で広まりつつあり、特に顕著なのが中国です。新型コロナウイルスの影響により、実店舗・小売業界が壊滅的な影響を受けたこともあり、中国のライブコマースユーザーは大きく増えました。調査結果によると、2020年は約18兆円の市場規模があるようです。
では、日本でのライブコマースの実態はどうでしょうか?実は中国ほどではないにしても、日本でもライブコマースによるマーケティングが大きく広まってきています。また、これから世界の影響を受けてライブコマースはどんどん発展していくと考えられています。そこで、次では私たち日本人が知っている・身近なライブコマースの実例を見ていくことにしましょう。

ライブコマースの実例

ライブコマース
それでは、日本におけるライブコマースの実例を 6 個ほど紹介します。

1. 資生堂(化粧品)

資生堂は世界中の多くの国でコスメブランドを販売している企業です。読者の皆さんの中にも使ってらっしゃる人は多いのではないでしょうか。
その資生堂が 2020 年から日本でライブコマースを始めました。その内容は、資生堂のコスメ販売員が具体的な化粧品などを紹介しつつ視聴者の質問に答えていくという流れになっています。資生堂のホームページを見てみると、

  • 「22 年春夏のトレンドの肌作り!透明感のある肌に仕上げるベースメイク」
  • 「仕上がり別!オススメのメイクプランテクニック」
  • 「春夏メイク、2023 年トレンドは?メイクテクニックをご紹介」

などと色々な層を対象にライブ配信が行われていることが分かります。近年では、韓国を発端に日本でもメンズメイクが流行しています。大学生ではメンズメイクにハマっている人も多く、メンズメイクも大きな市場になりつつあります。資生堂ではその様な流行を取り入れて男性をメインターゲットにしたライブコマースを行なっていたりもします。

2. ファンケル(化粧品)

資生堂と同じく、ファンケルもコスメブランドです。ファンケルのライブコマースの特徴は、新商品を先行販売したり、配信時間内のスペシャルプライスなどの特典があることです。勿論、ライブコマースの基本である双方向のリアルタイムでのやり取りや、商品担当者から直接色々話が聞けるのは当然として、その上で特典を設けることで他社との差別化を図ろうとしています。
「ライブショッピング 100 回記念!コラーゲン 4 種ご紹介♪」などの記念ライブ配信などもあります。特典や「〜回記念」などのキャンペーンを組み合わせることで視聴者の興味を強く惹きつけることに成功しています。

3. SHIPS(アパレル)

SHIPS はアパレル業界において老舗のセレクトショップです。SHIPS は 2020 年からライブコマースをスタートしました。
アパレル業界とライブコマースの相性は非常に良いです。自分と似ている体型の販売員が実際にコーディネートをした姿を見て買うことができるので、自分が実際に試着をしたり、店頭から家まで服を持ち帰ることをしなくても、服の着用感や丈感などを把握することが可能になります。また、新型コロナウイルスの流行もあり、実際に店舗に行って接客されるのはちょっと……と考える人にとってもライブコマースによるアプローチが効果的になるでしょう。
アパレル業界は多くの人向けにライブ配信を行うと同時に、上で説明したように視聴者の質問に応えることによる個人のコーディネート提案にも力を入れています。全体のトレンドを追いつつ、個別にもアプローチ可能なのが魅力です。実際に利益は非常に大きいものとなっていて、ライブコマースの有用性が実証されています。

4. UNIQLO(アパレル)

読者の皆さんにもお馴染みのUNIQLO。実際に自分のコーディネートに取り入れてらっしゃる方も多いのではないでしょうか。そんなUNIQLOもライブコマースを行なっています。
UNIQLOも工夫したマーケティング戦略を行なっています。SHIPSと同様にコーディネート紹介などもしていますが、UNIQLOに特徴的なのは「世界同時配信(特別ゲスト:ロジャー・フェデラー)」などの公式アンバサダーを利用した戦略です。フェデラー選手の場合ならテニスファンを獲得することが可能で、ライブ配信を視聴数も大きく増加することが見込めます。他にも有名人が選ぶアイテムを紹介していたり、広告塔を利用して購入者を集めていることが分かります。
スマートフォン

5. ビックカメラ(電化製品)

ビックカメラは皆さんがよく知る電化製品店です。ビックカメラは2019年にライブコマースの導入を始めました。
ビックカメラのライブコマースは上の四つの企業とは大きくコンセプトが違います。ビックカメラは実演販売の様子が生配信されている中でライブコマースを行いました。これによって実演販売で売れ行きを見ながら自分もライブコマースで購入することが可能になるのです。まず、そもそも担当者にオススメの商品を紹介されても実際これが売れているのか・人気の理由などはイマイチ伝わりにくいと思います。口コミとかは誰が書いているか分からないのでそれほど信用できません。
しかし、実演販売で他のユーザーのコメントや実際に買っていく様子を見ればその商品の本当の売れ行きなどが分かりますし、販売員の言葉にも重みが増します。また、2022年にはライブ配信サービス『SHOWROOM』との提携も発表され、さらにライブコマース利用が大きく進むと期待されています。

6. 三越・伊勢丹(デパート)

日本で最も巨大なデパートの三越・伊勢丹グループも 2019 年にライブコマースを導入しました。デパートなので洋服・食材を始めとした色々な物が売っていますが、デパート全体としてどのようなライブコマース活用を行なっているのでしょうか。
三越・伊勢丹では世界中の多くの食材が売られています。これを利用して、2021 年に三越イタリア展がライブコマースで行われました。これはデパートの特性、つまりセレクトショップのように色々な企業が各々商品を売っていることを活かしています。また、巨大な資本を利用して特別ゲストの有名人のシェフを招いたりして解説をしたり、実際に試食して比較したりなどと大盛り上がりでした。視聴者もまるでテレビ番組を見ているような感覚だったのではないでしょうか。実際に有名なシェフが美味しいと評価したものは買いたくなりますし、一流の方の着目点など色々学ぶべきところも多かったと思います。デパートの特性・巨大な資本を組み合わせたオリジナルのマーケティング戦略ですよね。
以上、化粧品・アパレル・電化製品など色々な分野における日本でのライブコマースの実例を紹介してきました。それぞれの企業で色々独自のマーケティング戦略を考えていることが分かりますね。
余談ですが、GUCCI・LOUIS VUITTONなどのハイブランドのアパレルも既にライブコマースを導入しています。日本でも多くの幅広いブランドがライブ販売を行っていくことが予想されますね。
それでは、実例を基にしてライブコマースのメリットを洗い出してみましょう。

ライブコマースのメリット

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上の六つの実例から大まかに6つのメリットを抽出してみました。

1, 快適な購入体験

以前からオンライン接客などは存在していましたが、2020 年の新型コロナウイルスの登場によりオンラインの需要・重要性は加速しました。まず、新型コロナウイルスが最初に流行した頃は、ロックダウンで外に出ることも制限されていました。これだと店舗には行けないですし、ロックダウンが解除されたとしても店舗に行くことを躊躇う人は多かったのではないでしょうか。
2022 年になって制限がほとんどなくなりましたが、ネットショッピングは依然として流行しています。オンラインのライブコマースだと気軽に販売員に質問できますし、他の客の目線を気にしたりすることもないので快適にショッピングを行うことが可能です。

2, 顧客層の拡大

ライブコマースを行うことによって、店舗販売やECサイトではリーチできなかった層にもアプローチをすることが可能になります。
先ほどの話と繋がってきますが、コロナが心配で店員や他の客との接触を避けたい人、他人を気にせず自分のペースで買い物がしたい人などはもちろん、モバイルデバイスでのSNS利用がメインで通販サイトに馴染みのない人などの層がたくさん存在する中で、ライブコマースを導入することは顧客を増やすことに直結してくるのです。

3, 発信できる情報量が多い

テキストや写真だけでは伝えきれない商品のサイズ感や素材、動きなどは動画で見せることのできるライブコマースならではです。実際に商品を手に取って見せながら商品の仕様や活用方法などを解説できるのも、購入の決め手となる情報を求める顧客にとって有益な情報となります。
伝えることのできる情報量が多ければ多いほど商品の魅力が伝えられるのです。
女性

4, 顧客個人と向き合った発信が可能

ライブでは視聴者からコメントやリアクションをしてもらうことができます。そのためネット上でありながら顧客が質問をして、リアルタイムでその質問に答えることができます。これにより、通常のSNS投稿による発信や、ECサイトなどに商品情報を載せるだけのWebマーケティングよりも顧客個人に向き合った発信ができると言えるでしょう。
また、商品を見て気になったことがあるときに店舗へわざわざ足を運んだり、メールで企業からの回答を待ったり、SNSの口コミをしらみつぶしに探したりなど、顧客にとっては手間がかかり販売側にとっては顧客を逃してしまう可能性があったデメリットがなくなるのです。また、一人の質問が他の視聴者にも共有されるため、顧客対応も効率的になります。

5, キャンペーンの幅が広がる

多くのライブコマースでは先行体験・クーポンなど特典を配っています。視聴者は先行体験をして先に商品の情報を知れ、さらにクーポンも貰えて一石二鳥です。企業もこれによって視聴者が増え売り上げに繋がります。実店舗ではなく、オンラインの特性を利用した双方にとって良いメリットになります。

6, コストの削減

これは企業側のメリットにもなるのですが、ライブコマースはコストを抑えることか可能です。
具体的には、企業側は場所を選ばず、人数も必要十分な最小限で済むので人件費やスペース代を抑えることが可能です。一方で、購入者側もわざわざ店舗まで行って色々質問したり、長い接客を受ける必要性がなくなったので、時間の節約をすることが可能になりました。これは普通のECサイトにおける販売でも同様ですが、ライブコマースを組み合わせることでより顧客に商品の魅力を紹介したり、顧客と向き合った接客・マーケティングアプローチが可能になります。

これからのライブコマース戦略

ネットワーク
これからもライブコマースはどんどん広まっていくと予想されていますが、企業はどのようにライブコマース戦略を立てていけばよいのでしょうか?

インフルエンサー起用

上の実例でも書きましたが、これからはより一層インフルエンサーの起用が大事になっていきます。UNIQLO が起用しているロジャー・フェデラー選手など世界中で影響力を持つインフルエンサーを起用することができれば他の競合と大きく差をつけることが可能ですが、インスタグラマーやユーチューバーなどのSNSを中心に活動するインフルエンサーでも大きなマーケティング効果が見込めるでしょう。インフルエンサーとの連携・どのように視聴者にアピールしていくかなどを企業はしっかり考えていく必要性があります。

視聴者とのやり取り

それに加えて、視聴者のコメントを理解し、しっかり求めている回答をすること。そして、購入までのサポート体制を充実させたりなどもこれからのライブコマース戦略では必須です。
ライブを見にきてくれた方向けにクーポンを配信するキャンペーンや、ふらっとライブを見にきた方に興味を持ち続けてもらうためにコメントなどの反応をしてくれた人向けにDMを送るなどの戦略が有効になります。また、ライブコマースは顧客と向き合ったアプローチを可能にする効果がありますが、コメントを拾えなかった人やより自分に合った提案を求めている人のフォローアップのためにDMなどの個別送信を強化することでライブコマースの長所をより伸ばすことが可能です。
しかしライブに来てくれた方全員に向けて迅速なDMをするのは人員的・時間的コストがかかってしまいます。その問題を解決するためにはチャットボットの導入が有効になります。ライブコマースと個別チャットの両方の機能があり、かつ普及している『Instagram』と『LINE』で使えるチャットボットサービス『sikiapi』は、上記のチャット戦略を全て自動で行うことが可能であり、ノーコードで利用できるためライブコマースに初めてチャットボットを導入したい方におすすめのサービスです。
sikiapi シキアピ
sikiapiではチャットボットでは個人と向き合った接客にならないのでは……という心配も無用です。シナリオ型と呼ばれ、あらかじめ自分で会話の内容を設定し、顧客が選択したり入力したキーワードに合わせて設定した複数の内容がピックアップされて表示されます。これにより診断やアンケートを設置することで顧客が自分に合うものを知ることができたり、欲しいものを選んだりすることが可能になります。フォーム入力などの機能もあるのでチャットボットでは対応できない質問に従業員が対応していくこともできます。また、 sikiapiには多くの機能が搭載されており、先ほど挙げたクーポン配信やフォーム入力機能だけではなく、顧客の属性情報を管理・分類する機能などもあるので、マーケティングの幅を大きく広げることができるでしょう。

まとめ

ライブコマース
以上、ライブコマースの紹介から始まり、視聴者・企業のメリット、これからの戦略まで色々みてきました。ライブコマースはここ三年ぐらいで一気に普及しましたが、これからもライブコマースは増えてくると思います。もしかしたら、将来的にほとんどがオンライン通販になるかもしれないと思うと、企業も消者もライブコマースについて色々知っておく必要性があります。
この記事を読んでいただいた皆さんはライブコマースの基本的な部分は分かっていただけたのではないでしょうか。本記事で挙げたライブコマースを伸ばすためのヒントを参考に、実際にライブコマースに関わっている人はさらなるアプローチを考えていくことが大事です。しっかり色々調べて考えて、オリジナルの戦略を立てて見てくださいね!

柳沢智紀
この記事の監修者
柳沢智紀
株式会社Enigol

株式会社リクルートホールディングスでWEBマーケティング業務および事業開発を経験し、アメリカの決済会社であるPayPalにて新規事業領域のStrategic Growth Managerを担当の後、株式会社Enigolを創業。対話型マーケティングによる顧客育成から売上げアップを実現するsikiapiを開発。