更新日:2023/07/24
読者の方はチャットボットをご存知ですか?以前は娯楽目的で使われることが多かったチャットボットですが、近年ではビジネス目的でも積極的に使われるようになってきました。今回の記事ではチャットボットを利用した決済の特徴・チャットボットの実例・メリット・デメリットを紹介していくことにします。
最初に、チャットボットとは何かについて説明する必要がありますよね。チャットボットとは、一言で言うと、チャットとボットを足し合わせたものです。つまり、自動で会話を行うことが可能なAIと考えると読者の方は分かりやすいのではないでしょうか。
では、このチャットボットがどのような決済の場面に応用されているのでしょうか?チャットボットの特徴として、利用者はチャットボットと会話することによって円滑なコミュニケーションを24時間気軽に行うことができます。例えば、私たちの日常生活に欠かせない通販サービスであるAmazon。そのAmazonでも商品についての問い合わせをする際にチャットボットが導入されています。これによって私たちは商品について分からないことがあれば、いつでも問い合わせることができるようになっています。実際にスマホでAmazonのサイトを開いてチャットボットを利用してみましょう!
最近では、チャットボットの会話のスピード・円滑さを決済に応用してみることが試みられています。そもそも決済システムは最近になって大きく進歩しました。
今までは、銀行に行って振り込みをしたり、直接店舗で現金を支払うことが多かったです。しかし、これには多くのデメリットが存在します。例えば、銀行や店舗が営業している時間の中でしか決済を行うことができなかったり、決済が完了するまでに多くの時間がかかったりと利用者にとって多くの不便があります。
今ではどうでしょう?コンビニに行くと多くの人がクレジットカード、あるいはスマートフォンを利用したPayPay・LINE Payなどのシステムを使用して支払っています。多くの人がスマートフォンを持つようになり、決済システムもスマートフォンで完結するシステムが主流になってきました。
チャットボットもこの流れに乗るようになってきました。今までの商品の通販サイトでは、商品を購入する際に別のブラウザを開く必要性があったり、一々クレジットカードの番号を入力して、確認ページを開いたりするなど多くの手間が必要でした。利用者目線だとこれだと面倒です。
実際に、商品を買うことが面倒だという理由から買わない人も多く存在しました。この状況は企業側にとっても商品が売れずに売り上げが減ってしまうので、望ましくありません。そこで、一気に決済まで可能なチャットボットを利用することによって上記のように考える利用者を繋ぎ止めようとしたのです。つまり、チャット画面から他のサイトに移動することをせずに、一気に決済が可能なチャットボットの開発が試みられてきました。
では、実際に開発が成功したチャットボットをいくつか紹介してみることにしましょう。
BOTCHAN PaymentはECサイトにおけるユーザーサービスが不十分な決済フォームによる消費者のストレスを軽減しています。それに加えて、通常のフォームでは実現不可能なクレジットカード決済や、アップセル・クロスセルの促進により、LTVの最大化をブランド体験の向上を通じて実現しています。今までに蓄積されたデジタルマーケティングのデータを基に、業界・商材に合わせてフレキシブルに戦略を決めて、LTVを最大化します。豊富なEFO機能と決済システムを備えたチャットフォームでCVRを向上させています。残りの設問数を表示したり、郵便番号やカナ文字の入力補助、チャットフォームの決済を可能にしたりするなど様々な工夫をしています。これによってユーザーのストレスが大きく軽減されています。料金体系も業界内でかなり安く、多くのクレジットカード会社と連携していたり、後払いも対応していたりなどと、ユーザーに多種多様な支払い方法を提供しています。累計600社に導入されている実績もあります。
現在の主要なコミュニケーションツールとして重要であるLINEによって開発されたシステムがLINE Payです。LINE PayはQRやバーコードをスマートフォンの画面に登録することによって、セブンイレブン・ローソンなどのコンビニなどを始めとする多くの加盟店で決済機能として使うことができます。他にも、LINEを使っている友達同士で送金が行えたりします。実は、このLINE Payはチャットボット機能も持っています。企業・サービスなどの公式アカウントのトークルーム上で、チャットボットを利用することで他のウェブサイトを経由することなくLINE上でスムーズに決済を行うことができます。多くの人がLINEを使っているので、LINEとチャットボットの組み合わせのインパクトやメリットは非常に大きいものとなります。
Qualva Paymentはチャットボットのシナリオ作成・決済代行に限らず、予約・QRコード作成など多岐に渡る機能を持っています。QRコード・SNS・Webサイト・TVCMなど流入元を問わず直接決済を行うことが可能です。今までのチャットボットでは手が届かなかったモバイル決済・定期決済購入が実現し、ユーザーにとってさらに使いやすいシステムに進化しました。JCB・American Express・Discover・MasterCard・VISAの国際ブランド5社によって作られたグローバルセキュリティ基準にしっかりと準拠しているので、セキュリティ対策も安心です。
このチャットボットは最近になってクレジットカード決済機能が追加されました。tripla Botはホテルを中心とする旅行業界向けの多言語AIサービスで、宿泊希望者からの問い合わせ対応や宿泊予約も可能となっています。注目すべき点は、多言語に対応しているという点であり、色々な国の人が利用することが可能になっています。また、AIが解答不可能な質問はオペレーターに即時転送されます。そして、オペレーターがチャットで代わりに解答します。EC機能を持たないHPでも特別料金などはかからずに、多くの決済をチャットボットだけで行うことが可能になっています。
他にも、チャットボットを利用して、クリスマスケーキやおせちなどを買うことが可能です。チャットボットのデメリットをカバーするシステムを既に導入していて、これからも発展していくことが期待できる新しく台頭してきたサービスといえます。
チャットボットを利用した決済の実例を上で紹介してきました。どのチャットボットにも特徴的な側面はありますが、共通点としてはユーザーにとって既存のシステムより利用しやすい決済方法を提供している点があります。
多くのユーザーが昼に仕事をしていたり、まとまった休憩時間が貰えない現代社会において、時間があるのは夜であったり、あったとしても昼に少しの時間だけの場合が多いと思います。この時間に銀行に行ったり、お店に直接行ったりするのは事実上不可能です。また、コンビニ決済があったとしても、仕事終わりにコンビニに寄る手間などが発生してしまうので面倒だと思います。しかし、チャットボットはインターネットを利用するので、システムさえ作っておけば24時間対応することが可能です。また、同様に祝日や休業日などにも左右されることがなく自分の好きなタイミングで決済をすることが可能になります。これによって、買い手は気軽に注文を行うことが可能になり、売り手にとっても売上の上昇というメリットが得られるようになります。企業側にとっても、電話・チャットで対応をする手間が省けるので、人件費を低く抑えて他の場所に予算と時間を回すことが可能になります。
他にも誰もが利用しているSNSや既存の旅行業界と提携しているサービスが開発したチャットボットが多いので、最初からユーザーを獲得しやすく、利用者の声が反映されやすかったり、既にあるサービスに付け加えるので一から全てを作る必要性がなく多くの企業が決済を導入しやすいというメリットがあります。最初からユーザを獲得できるので、多くの言語に対応しているチャットボットもあります。そのため新規利用者は自分の母国語などを気にすることなく気軽にチャットボットを使ってみようと思うはずです。また、LINEなどの大手の既存のサービスを使っているユーザーがそのまま買い手となる可能性も高く、企業側も初期の段階で利用者を獲得しやすいというメリットがあります。
実際にチャットボットを利用している人に意見を聞いてみると、LINE・JSB・American Express・MasterCard・VISAなど安心で定評のある国際的な企業が決済に関わっていることで安心感を得ている人も多かったです。現在では、ニュースなどでクレジットカードの不正利用などを始めとして、決済システムを悪用する人も増えてきています。新規ユーザーにとっては自分の決済が悪用されていたり、そもそも詐欺なのではないか・・・などと不安を感じる人が多いかもしれませんが、セキュリティのしっかりとした企業が絡んでいるなら安心です。また、これから法整備やシステム技術も進化するにつれて、決済セキュリティはどんどん強固になっていくのでユーザーにとって更に安心できる環境が提供されていくと思います。
決済の分野だけではなくて、通販などの他の分野でも同じなのですが、チャットボットの対応に限界があるのが現状です。専門的な内容や、複雑な問合せを解決することができません。しかし、これは簡単な内容はチャットボットで対応して、複雑な内容は人間が対応するようにすれば効率よく質問を捌くことが可能になります。上で紹介した、tripla Botは既にこのデメリットを改善していますね。また、チャットボットはこれからも大きく発展していく分野だと思われるので、将来的にはチャットボットだけで全ての質問を捌き切ることが可能になると思います。
また、チャットボットの導入は無料というわけにはいきません。チャットボットを一から作ることを考えると大きな予算が必要となりますが、それは現実的ではありません。そのため運営代行会社に任せることになると思うのですが、勿論費用はかかりますし、どの会社に任せるかなどは慎重に決める必要性があります。上で書いたように、チャットボットはホットな分野なのですが、それと同時に多くの会社が参入してきている分野でもあるので、自分の企業と考えがマッチするような会社を見つけて安心して運営を任せる必要性があります。
他にはチャットボットの決済はスムーズに行えてしまうので、簡単に物を買うことが可能になってしまってユーザーは物を買いすぎないように注意することが必要です。勿論、自己責任なのですが・・・利用者はシステムをしっかり理解して、沢山買いすぎないように注意していくことが大事になります。やはり、チャットボットに対する理解は企業側も利用者側も知っておく必要性を感じますね。
このように、チャットボットにはもちろんデメリットも存在しますが、既に問題を改善しているサービスがあったり、チャットボットの発展によって解決される見込みがあったりします。メリットや自身のニーズをちゃんと理解して、最終的にプラスになるようなより良い選択ができるといいでしょう。
ここまで、チャットボットとは何か・決済におけるチャットボットの実例・メリット・デメリットなど色々みてきましたが、チャットボットの凄さ・便利さは伝わったでしょうか?
チャットボットはこれからも進歩していく分野ですし、読者の方もチャットボットを利用する頻度や場面が増えていくことが予想されます。そのため、今からチャットボットの利用法や特性を抑えておくことが大事になってくると思います。AmazonやLINEなどでもチャットボットは導入されているので、日頃からチャットボットを使ってみるのも良いでしょうし、自分で色々調べることも有効だと思います。そして、チャットボットに詳しくなったらこの記事をまた読み返してみてください!新しい発見や、なるほどって思うことが色々あると思いますよ。
株式会社リクルートホールディングスでWEBマーケティング業務および事業開発を経験し、アメリカの決済会社であるPayPalにて新規事業領域のStrategic Growth Managerを担当の後、株式会社Enigolを創業。対話型マーケティングによる顧客育成から売上げアップを実現するsikiapiを開発。