CEMとは?おすすめのCEMツールを紹介【ロイヤルカスタマー獲得】

CEMとは?おすすめのCEMツールを紹介【ロイヤルカスタマー獲得】

更新日:2023/05/10

CEMは顧客体験管理の略称であり、企業が顧客の体験を管理・改善する手法やプロセスを指します。良質な顧客体験を提供することは、企業にとって競争上の優位性を生み出すため重要です。本記事では、CEMについて解説し、CEMを進めるステップやマーケティングを効率よく進められるCEMツールを紹介します。

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CEMとは

CEMとは「Customer Experience/Engagement Management」の略で、顧客経験管理と訳されます。
顧客が商品やサービスを購入する経緯や利用シーンを想定し、顧客が価値を感じるような経験を加えることで、ロイヤルカスタマー(企業に愛着を持ち、継続的に利用している顧客)を増やすためのマーケティング手法を指します。
顧客の感情を軸に行うマーケティングなので、データなどよりも分析が難しくなります。また、最近はユーザーのニーズや価値観が多様化しているので、効果的なアプローチがより難しくなっています。
しかし、CEMを重視することでロイヤルカスタマーを増やし、LTV(顧客から生涯にわたって得られる利益)を高めることができます。
ロイヤルカスタマーが増えれば、知人に商品やサービスを紹介してくれるようになるため、そこからさらにファンを増やすことができます。
このようにCEMを上手く活用することで、ブランド力の向上や売上の安定につなげることができます。

CEMに関わるキーワード

マーケティング
ここではCEMに関わるキーワード「カスタマーエクスペリエンス」「顧客ロイヤリティ」「NPS」について解説していきます。

カスタマーエクスペリエンス

カスタマーエクスペリエンスとは、顧客が商品を購入する前から購入した後までに体験する感動や満足感を指します。
例えば、ECサイトが適切なタイミングで情報を提供したり、購入後のアフターサービスが行われているケースがあげられます。
商品の購入過程で様々な体験を用意しておくことで、ブランド力や顧客ロイヤリティが高められます。
カスタマーエクスペリエンスが向上すれば、高価な商品であってもブランドの力で、価格相当な価値を感じてもらえるようになります。
カスタマーエクスペリエンスには「お得」「便利」といったシンプルな施策によるわかりやすい経験価値から、「楽しい」「安心」といった複雑な施策によるわかりにくい経験価値の2種類に分けられます。
中でも「共感」は経験価値として最も効果が高く、見える化が難しい感情なので、より明確な判断指標を考える必要があります。

顧客ロイヤリティ

顧客ロイヤリティとは、ユーザー商品やブランドに対して持つ愛着や信頼感などを指します。
顧客ロイヤリティが高まれば、商品のリピート率や購入単価の向上などの効果が得られます。
顧客ロイヤリティを向上させるためには、商品やサービスの質の向上だけでなく、企業と顧客のコミュニケーションの中で信頼してもらえるサービスを影響し続ける必要があります。

NPS

NPSとは、ユーザーが企業へどれだけ愛着や信頼感を持っているのか、顧客ロイヤリティを測るための指標になります。
NPSに似ている指標で満足度調査がありますが、満足度を聞く場合は大きな不満がなければ「満足している」という回答をする利用者が多いので、正確な評価は得られません。
しかし、NPSでは他人にすすめられるかを聞く調査であり、0から10の11段階評価となっているので、ユーザーは回答の責任感や明確さからより正確に回答できるようになります。
これによって、従来の顧客満足度調査よりも精度の高い評価が得られるようになります。
NPSの評価では6点以下が「批判者」、7〜8点が「中立者」、9点以上が「推奨者」となるので、9点以上を増やすことを目標にすると良いでしょう。

CRMからCEMへ進化した経緯とその手法

crm
CEMというマーケティング手法が現れる以前はCRMという手法が頻繁に使われていました。CRMからCEMにどのように変化していったのか、その経緯とそれぞれの手法について解説していきます。

CRM

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、顧客関係管理と訳されます。
CRMでは既存顧客の情報から信頼関係を構築し、LTVを最大限に上げることを目的とするマーケティング手法を指します。
CRMのマーケティングではデータ統合が主な施策となり、顧客の属性や行動から特徴分析を行う施策、類似の特徴から優良顧客の候補を抽出する施策などにつながる。
顧客関係を管理できるCRMツールでは既存顧客の情報管理からマーケティング支援やカスタマー支援などの機能が備わっている。
CEMとの違いは、「管理内容」です。CEMでは「商品を買ってどのように感じたのか」顧客の感情に焦点を置いており、CRMでは「商品をいつどのようにして買ったのか」顧客の行動に焦点を置いています。

CRM+MA

CRMとMAの両方を活用し、既存顧客だけでなく新規顧客の獲得も狙うマーケティング手法になります。
MAとは「Marketing Automation」の略で、顧客の状況に合わせて実施されるマーケティング活動全般の自動化を指します。
具体的には匿名顧客データの紐付けや顧客セグメーション、PDCAサイクルの確立などを目的としたマーケティングの自動化になります。
CPMツールとMAツールを組み合わせることによって、既存顧客と見込み顧客の両方にアプローチを取ることができるため、マーケティングを効率化できます。

CEM

CEMでは既存顧客や見込み顧客だけでなく、商品にまだ興味を持っていない・知らない顧客に対してもアプローチを図るマーケティング手法になります。
CEMではカスタマーエクスペリエンスを向上させ、ロイヤルカスタマーを創出することを目的としており、潜在ニーズの発掘はその目的を果たすために欠かせない要素となります。

CEMを進めるステップ

パソコン
ここではCEMを進めるにあたって重要な3つのステップを解説していきます。

顧客ロイヤリティを評価する指標を定義

顧客ロイヤリティを評価するためにはNPSを指標として考えるのが基本です。NPSが高いほど商品やサービスに信頼を置いている顧客が多いということになります。
しかし、日本の評価では5点前後に集中しやすい傾向があるので、スコアがシビアになっていることは理解しておきましょう。
また、リピート率の高さも顧客ロイヤリティの高さと比例するので指標として用いることができます。

顧客ロイヤリティから生じる売上効果を可視化

CEMではユーザーの体験や感情に焦点を当てたマーケティングなので、施策に効果があるのかデータを用いて可視化することが重要となります。
例えば、「クーポンの配布により商品がお得になった」「webシステムを改善しサイトが便利になった」などのシンプルな施策だと効果を実感しやすいです。
しかし、複数の施策が組み合わさったものだと、効果を感じにくくなってしまうことが多いです。
売上を可視化データとしてあらかじめ指標を設定しておくことで、その後のPDCAサイクルを最適化し、施策を改善することができます。
また、最初は特定の領域でシンプルな施策を進めていき、効果が見られてから少しずつ施策の範囲を広げていくと良いでしょう。

CEMの取り組みを組織全体で共有する

CEMの取り組みをマーケティング部門や営業部門などの特定の部門だけでなく、組織全体で進めていくことが理想です。
そのためには、まず上層部がCEMにコミットし、その意義や目的を組織全体にカスタマーエクスペリエンス向上のイメージを共有することが重要となります。
そこから、部門間の連携強化、社員への正当な評価、モチベーション向上を図るイベントなどに力を入れていくことが必要となっていきます。
また、組織全体で連携するためには、社内に点在しているデータを一元化できる管理システムを充実させることも視野に入れておきましょう。

CEMツールの例

マーケティング
ここでは現在、様々な企業で導入されているCEMツールについて、いくつか紹介していきます。

Quantum Metric

Quantum Metric
Quantum Metricはマーケティング事業やビックデータ事業を行っているエクスチェア株式会社が提供しているCEMツールになります。
機能としては、以下のようなものがあります。

  • 混乱を招くユーザーエクスペリエンス、エクスペリエンスをを損なう問題を自動的に特定する
  • 定性的および定量的データを統合し、次に何を構築すべきか仮説を立てる
  • 計測されたデータを保管し、連携している外部システムで再利用させる

Handy CEM

Handy CEM
Handy CEMはマーケティング事業を行っている株式会社オプトとCEプラットフォームを開発しているRepro株式会社が提携し、提供しているCEMツールになります。
機能としては、以下のようなものがあります。

  • CEMモデルに基づくアンケートの作成・リサーチ
  • 購買データや行動データからリサーチ結果と併せて顧客分類
  • 顧客の購買行動やwebサイトの閲覧行動傾向、ロイヤリティの深度、購買に対する嗜好性など、様々な指標をAIで分析し提案

Medallia

Medallia
Medalliaは顧客体験管理の支援サービスを行っている株式会社Medalliaが提供しているCEMツールになります。
機能としては、以下のようなものがあります。

  • カスタマージャーニーのあらゆる顧客接点からデータを収集して可視化する
  • 顧客からのフィードバックがリアルタイムで共有でき、問題が発生した場合の対応を迅速に行うことが可能になる
  • 会社の状況に合わせて経験豊富なエキスパートが伴走し、御社に最適なDXの実現

NPX Pro

NPX Pro
NPX Proはマーケティング事業を行っているNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が提供しているツールになります。
機能としては、以下のようなものがあります。

  • 自社のカスタマージャーニーを可視化し、ジャーニー上のタッチポイントごとに調査を行うことで、組織を横断した総合的な顧客体験の向上をサポート
  • 定量的なデータに加え、テキストデータの分析等、多種のデータ分析フレームワークを用意
  • 利用者自身が必要としている情報を選んでダッシュボードをカスタマイズが可能

OpenText

OpenText
OpenTextはマーケティングにおける情報やプロセスの自動化クラウドサービスを開発しているOpenTex株式会社が提供しているツールになります。
機能としては、以下のようなものがあります。

  • 運用を最適化し、新しいビジネスモデルを採用して、持続的な差別化を図り成長を促進
  • AIまたはMLを搭載した、統合されたオープンなエクスペリエンスプラットフォーム の最善の組み合わせを提案
  • 顧客のデジタルトランスフォーメーション戦略をサポートするために、実用的低リスクのアプローチを行う

CEMツールの選ぶ際のポイント

虫眼鏡
ここではCEMツールを選ぶ際のポイントについて解説していきます。

機能の多さ

CEMツールには様々な機能が備わってます。
例えば、ドラッグ&ドロップ式のツール、テンプレート、パーソナライズ機能、セグメント化機能、自動化機能、追跡&分析機能などがあります。
このような機能面が豊富に備わっているCEMツールの方が様々な場面に対応できます。

連携が容易

CEMツールは組織全体で利用できるようなものの方が良いです。
マーケティング部門、営業部門、カスタマーサービス部門など複数の部門が連携して、CEMツールを利用することで、顧客を包括的に把握し、あらゆる方面からアプローチしていくことができます。

使い勝手

CEMツールを社内に導入してもスムーズに使うことができなければ、むしろ導入前より時間を使ってしまう可能性も考えられます。
快適に利用できる直感的でユーザーフレンドリーなCEMツールを選ぶことで、効率的にマーケティング施策を進めることができます。
利便性の高いCEMツールを導入し、重要な業務へ多くの時間を割けるようにしましょう。

柔軟性

CEMツールにおける柔軟性には様々な側面があります。顧客のニーズを先読みしたメッセージや各顧客に対応したアフターサービスなど特定の顧客に対する体験の提供には柔軟性が必要になります。
そのためにはCEMツールの中でも様々なカスタマイズや設定が行えるものを選んだ方が、将来的に施策を拡張していきやすくなります。

まとめ

パソコン
今回はCEMツールを進めるステップやCEMツールについて解説しました。
CEMツールを導入することで、ロイヤルカスタマーの増加やLTVの向上につなげることができるので、この記事を参考に導入を検討してみてください。

柳沢智紀
この記事の監修者
柳沢智紀
株式会社Enigol

株式会社リクルートホールディングスでWEBマーケティング業務および事業開発を経験し、アメリカの決済会社であるPayPalにて新規事業領域のStrategic Growth Managerを担当の後、株式会社Enigolを創業。対話型マーケティングによる顧客育成から売上げアップを実現するsikiapiを開発。